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コンサート名・公演名

2005年11月19日 バイエルン放送交響楽団
(兵庫県立芸術文化センター)

演奏曲目および評価

ベートーヴェン  「レオノーレ」序曲第3番
プロコフィエフ  ヴァイオリン協奏曲第1番
ショスタコーヴィチ  交響曲第5番



演奏者(指揮者・ソリスト)

ヴァイオリン: 五嶋 みどり
指揮: マリス・ヤンソンス

感想・短評

大学生のときに行って以来のバイエルン放送交響楽団の演奏会。ドイツを代表する名門オケの1つな上、大好きなヤンソンスの指揮とあらば、期待しないわけがない。兵庫県立芸術文化センターの良い音響ではどのような演奏を聞かせてくれるかに注目だ。

いつもながら満席の芸文センター。今回も最安席だが、4階席最後部真ん中という文句なしの良席。さて、1曲目はベートーヴェン。「これがドイツの演奏だ!」と言わんばかりの重厚な演奏だった。ヤンソンスの手にかかると、重厚なだけでなく、繊細な表情もプラスされるため、とてもバランスが良い表情になる感じだ。ピアノはとことん静かに、フォルテはしっかり鳴らす。非常にメリハリの付いた演奏には本当に脱帽です。特に、終曲部分で弦楽パートが重なっていく部分などは緻密且つ壮大で、この上ない美しさに大満足でした。

五嶋みどり
五嶋みどり

さて、今日の目玉はもう1つ。五嶋みどりさんのヴァイオリンだ。プロコフィエフのような超絶技巧な曲よりも、叙情的な曲が聞きたかったところだが、演奏を聴いて釘付けになった。まず、曲が始まったとたんに、何かに取り付かれたかのようなスタイルで奏で出した。全身で表現するようにクネクネと大きく動く。奏でられた音色は太くはないが、底が見えないほど深い。特に弱音の上手さは凄まじいほど。オーケストラの方はあまり気にすることできなかったくらいヴァイオリンと調和していたため覚えていない(笑)。ただ、第1楽章後半はベートーヴェンで重厚な演奏を聴かせていたオケと同じオケとは思えないほど繊細で、薄いガラス細工のような表情を魅せていたところが印象に残った。五嶋さんは第2楽章では勢いのよい激しさ、第3楽章では再び繊細で深い演奏に。第3楽章では少し五嶋さんが先走り気味になっていたが、そんなスリリングなところもまた楽しいものだった。拍手はフライング気味で納得いかなかったものの、素晴らしい演奏でした。

アンコールでは、J.S.バッハの無伴奏ソナタ第2番より第3楽章を演奏してくれた。これもスゴイ演奏でした。

後半はヤンソンスの面目躍如たるショスタコーヴィチの演奏。冒頭の低弦から名演の匂いがプンプンだった。全楽章を通してとても均一なバランスの取れた演奏だった。若かりし頃のヤンソンスのような、突進するようなスピード感はなかったが、ショスタコーヴィチの置かれていた政治的背景なんかも表現しようとしていたのではないかと思ってしまうほど内容の濃い演奏だった。もちろんバイエルン放送交響楽団のぶ厚い音色がそういう感覚をもたらしたのかも知れないけど。第4楽章も勢いに任せたような表面的な演奏ではない。しかし、金管はすごい上手かった。。。初めて本物のショスタコーヴィチを聴いたというような満足感でいっぱいだった。

私は気づかなかったのだが、最後は打楽器が人数不足のため対応しきれずに音が落ちていたようで、奏者がすごく悔しがっていた。アンコールで名誉挽回とばかりバチを持って待ち構えていたが、演奏されたのは下記の曲だった。

  グリーグ 「ペールギュント」より「ソルヴェイグの歌」

ヤンソンスのお得意の北欧曲が聴けるとは思わなかっただけにうれしい演奏だった。打楽器奏者がまだ待ち構えていたけれど、結局アンコールは1曲のみで打楽器奏者も残念そうだった。こっちも残念だった。明日の演奏に期待しよう。

【番外】終演後ホールはものすごい人だかりになっていた。何が行なわれるのかと思っていたら、五嶋みどりさんがロビーに登場。もう押すな押すなの大混雑で大変なことになった。あまりにも人が多いので、ひとまず場を離れて、楽屋口でヤンソンスにサインをもらいに行った。その後ロビーに戻ると誰もいなくなっていたので、もう一度楽屋口に戻ることに、かなり待ったが五嶋さんが現れなかった。関係者の方が、ロビーから出ると言うことを教えてくれて、急いで表に回ったところ、ロビー付近で展示を見学している五嶋さんを発見! 無事にサインをもらい、写真も一緒に撮ってもらった。良い演奏に、良い思い出、良いこと尽くしの演奏会だった。

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