今年3回目のオペラ観劇。今日の公演は日本語での上演となるために、最初はかなり疑心暗鬼だった。やはり原語にての上演でないと作品の良さが伝わらないからだ。ただ、びわ湖ホールが今年から2年おきに開催する「オペラ ビエンナーレ」と題する企画なので期待もあった。
そういうこともあり舞台セットはかなり豪華だった。演出自体は正統的なもので奇をてらったものはなかった。第1幕は野道と荒野、そしてシュパンのお屋敷の門などが配置されていた。第2幕はジプシーの村(バリンカイとザッフィが暮らす家)、第3幕はバリンカイ一同が戦いから凱旋してくるウィーンの宮殿のセットだ。
さて、演奏の中身の方はというと、「意外」と良かった。日本語上演なのでどのようになるのか不安だったが、演劇を見ているようで楽しいものだった。良く考えればオペラは音楽付きの演劇といっても間違いがないからか。ただ、さすがにオペラの歌い方で日本語を話されると何言っているのか分からない部分が多々あった。この作品は比較的分かりやすいものだったので難はなかったが、複雑な内容のものだとちょっと辛いかも。
そこで求められるのが歌唱力と言葉の明瞭さ。これを満たしていて際立っていたのが、バリンカイの松本氏と、ツィプラの井上さんだ。その他の面々は声量が乏しかったため、ちょっと迫力に欠けた印象。松本氏はびわ湖ホール声楽アンサンブルのメンバーだけあり演技・歌唱力ともに素晴らしく主役としてしっかり機能していたのがうれしい。もっと頑張って欲しかったのはシュパンの服部氏とホモナイ伯の灘井氏。どちらもおいしい役なのでもっとユーモラスに派手にしてくれたら楽しかっただろうが。
同じことはオケにも言える。さすがにセンチュリーには無理な注文なのだが、オーケストラ演奏としての強みが果たされていなかった。そちらかというと「伴奏」といった感じで、オケの存在力をもっと出して欲しかったのが残念なところ。とはいえ、センチュリーの丁寧な音楽作りは心地よいものだったので、文句も言えないが(金管はいつもよりも安定感があったし)。
2日目の公演では配役が異なるのでまた違う演奏になっていたと思う。2年に1回のこのイベント。値段も手ごろなので楽しみなシリーズになりそうだ。
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