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2000年4月22日 大阪センチュリー交響楽団
第60回定期演奏会(ザ・シンフォニーホール) → はいかーの報告へ

演奏曲目および評価

オネゲル、オーリック、 ミヨー、プーランク、 タイユフェール合作
  バレエ音楽「エッフェル塔の花嫁花婿」
イベール  サクソフォーン小協奏曲
プーランク  グローリア

 


演奏者(指揮者・ソリスト)

サクソフォーン: 武藤 賢一郎
ソプラノ: 松下 悦子
合唱: 大阪センチュリー合唱団
指揮: 高関 健

感想・短評

大好きなフランスもの。それも6人組あたりの曲だけに非常に楽しみにしていた。が、予習する時間がなく、全曲聴いたことがないまま望むことになってしまった・・・

今回の注目はやっぱりオネゲル・オーリック・ミヨー・プーランク・タイユフェールによる合作「エッフェル塔の花嫁花婿」。デュレイを除く「フランス6人組」による曲であり、演奏機会が非常に少ないために期待感「大」。曲の構成は次の10曲からなる。

 1.序曲「革命記念日」(オーリック)
 2.結婚行進曲(ミヨー)
 3.将軍の演説(プーランク)
 4.トゥルーヴィルの水浴する女(プーランク)
 5.殺戮のフーガ(タイユフェール)
 6.電報のワルツ(タイユフェール)
 7.葬送行進曲(オネゲル)
 8.カドリーユ(タイユフェール)
 9.リトルネッロ(オーリック)
 10.婚礼参列者の退場(ミヨー)

はっきり言って、タイトルは関係ないと思っていい。全曲にわたって言えることは打楽器が活躍する大騒ぎの曲だということ。もっともタイトルに似つかわしくないのは2曲目。結婚行進曲ではなく、まさに軍隊行進曲。面白いのは4曲目。水浴の女?と疑問を持つ始まりだが、中間部はプーランクらしいメロディアスなライン。また、曲として完成度が高いと思うのはオネゲルによる葬送行進曲だろう。また、「カドリーユ」は花嫁?「リトルネッロ」は花婿?だと思うが、曲調は全く正反対。これがユニークなところなんだろう。何にしても聴くには楽しい音楽だった。演奏の方はまずまず。相変わらず金管の「抜け」が良くないが、打楽器陣のうまさが埋めてくれていた。特に8曲目でのマリンバの叩きっぷりにはブラヴォー!!!

イベールも思わぬ誤算。これほどに楽しい曲に今まで気づかなかったとは。サクソフォーンを使った協奏曲は他にほとんど例がないためどうなるのかと思ったが、これが素晴らしい。始めからかなりの超絶技巧。武藤氏のテクニックが炸裂。フランス音楽というよりはアメリカンな曲に聴こえたが、イベールらしい難しそうな曲だ。

最後はグローリア。曲はまさにプーランク色だが、宗教曲だけあり高級度が増している。メロディだけ取り出すとあの軽快な色になるんだけど、こうも変わるものかと思ってしまった。素晴らしいのはやはりそういったプーランクらしい軽快な曲調の2曲目や4曲目かな。第3曲は荘厳な響きが「オルガン協奏曲」に似つかわしい。第5曲では最も大好きな「クラリネットソナタ」の第2楽章の旋律が表われるため「あぁ、プーランクだ!」という実感が沸いた。合唱は控えめな表現で決してオケをかき消すことはないうまい具合のバランスを保っていた。男女比もほぼ均等で良かった。ただ、少しバスが弱かったのは残念。高関氏も誇張せず、素直な解釈をしていたのが好印象。ソプラノの松下さんも良く通る優しい発声が宗教曲にぴったりで良かったと思う。特徴が少なかったというとそれまでだが、「癒やし系」の曲としては心地いい演奏会であった。

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