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2003年12月6日 ヤン・デプレーテル(ギターと舞のハーモニー)
(大阪・四天王寺 本坊 五智光院)

演奏曲目および評価

スカルラッティ  ソナタ L.238イ長調
スカルラッティ  ソナタ L.483イ長調
J.S.バッハ  パルティータ第2番 から「シャコンヌ」
マーサ  「プラテーロと私」から「死」
ドメニコーニ  砂山変化*
アルベニス  アストゥリアス「伝説〜プレリュード」*
ブローウェル  ソナタ
   ファンタンゴとボレロ
   スクリャービンのサラバンド
   パスクィーニのトッカータ
レゴンディ  序奏とカプリッチョ
アサッド  フェアウェル(映画「夏の庭」のテーマ)

演奏者(指揮者・ソリスト)

日本舞踊: 花柳 伊十輔
ギター: ヤン・デプレーテル

感想・短評

五智光院いつもは当然コンサートホールで聴いている演奏会。今回のようにお寺にて聴くという機会は初めて。それも「ギターと舞のハーモニー」というように、日本舞踊とのコラボレーションである。初めてみる光景に少し驚いてしまったのは言うまでもない。

会場は四天王寺の本坊「五智光院」。100名ほどの観客だった。お寺の中だったので座布団にでも座ってみるのかと思っていた。残念ながらパイプ椅子であった。ギター演奏は昨年も聴いた、ヤン・デプレーテル。若手の実力派だ。どの曲もテクニックを駆使するだけでなく、消え入りそうな音を入念に奏でるスタイルがとても魅力的だった。

日本舞踊との組み合わせは、ドメニコーニ「砂山変化」と、アルベニス「アストゥリアス」の2曲。日本舞踊はしとやかに踊るものと思い込んでいたが、かなり激しい動きと豊かな表現を駆使するもので、例えて言うなら、しゃべらない演劇という感じか。情景やセリフなどをすべて表情と動き、そして扇子によって表しており、伝統芸能の深さというものを垣間見た。ギター伴奏は意外にはまっており、琴による演奏に近いものがあった。

曲が気に入ったのは、最後のフェアウェル。日本映画「夏の庭」のテーマ曲らしいが、映画の名前は聞いたことがない。フェアウェル(告別)というだけあって、悲壮感に満ちた悲しい曲で、その純粋なまでのメロディは直接心に響いた。かえって安らぎを感じさせるほどで、もっと人気が出てもおかしくないと感じた。アンコールでも「夏の庭」からの曲を演奏してくれ、これも素晴らしいものだった。

今日は、お寺での演奏会というシチュエーションのもと、ギター演奏だけでなく、日本舞踊という普段お目にかかれないものも見えたし、良い曲にも巡り合え、思った以上に楽しい日になった。

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