昨日に引き続いてGW中のコンサート第2弾。梯さんのピアノはかなり昔に聞いたきりだ(1999年のオーケストラアンサンブル金沢)。しかし、その時の感動が未だに忘れられない。今回のリサイタルはS席でも3000円という破格の安さなので、うれしいコンサートなのだ。
1曲目のバッハから、ゾクゾクとする美音に心揺さぶられる。バッハの曲なので感情的なものにはならないため、均一な音の羅列はややもすると単調な演奏に思ってしまう。しかし、音の透明感は他に比較するものがないほど美しいために、心が浄化されるようだった。それを強く感じさせてくれたのはモーツァルト。晩年の曲だが、無邪気なモーツァルトの音楽に対する純粋さが手に取るように分かる秀演。第2楽章の美しさはピカイチでした。
曲調がガラッと変わってベートーヴェンの「熱情」。この曲は昨年、ファジル・サイによる激演を聞いているが、それとは対角線上にある全く別世界の音楽。まず、演奏は非常にゆっくりで、特にテンポの変化は付けていない。それだけに丁寧に奏でられる音階は何1つ無駄なところはなかった。
シューベルトは初めて聴く曲だったが、シューベルト愛好家としてはどの曲も結構好みの曲♪。目を閉じれば清流の風景が思い浮かぶような流麗さはたまらなかった。さらに、アンコールは何と3曲も演奏された。これがまた本編に輪をかけたような秀演だったのがスゴイ。
ショパン ノクターン遺作 嬰ハ短調
ショパン 幻想即興曲 嬰ハ短調 op.66
リスト コンソレーション第3番
会場のあちこちからすすり泣きが聞こえ、ハンカチで目を押さえている人も多かった。人の心を揺さぶる演奏をする梯さん。真の芸術家と呼ぶにふさわしい逸材です。
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