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2013年7月6日 梯 剛之 ピアノ・リサイタル
(滋賀県立芸術劇場 びわ湖ホール 中ホール)

演奏曲目および評価

ドビュッシー/「月の光」(ベルガマスク変奏曲より)
モーツァルト/きらきら星変奏曲 ハ長調 K.265
ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調 op.27-2「月光」 第1楽章
ショパン/ノクターン 第2番 変ホ長調 op.9-2
ショパン/バラード 第3番 変イ長調 op.47
リスト/ピアノ・ソナタ ロ短調

演奏者(指揮者・ソリスト)

ピアノ:梯剛之

感想・短評

先日のアファナシエフに続き、名ピアニストの公演が続く。梯さんの演奏に触れるのは3度目かな?いつも音楽というか音色の奥深さを感じてハッとさせられる稀有なピアニストだ。ハンディを負っているということはこの際考えるべきことではなく、むしろそういう思いで聴くと誤った聴き方をしてしまう。もちろん、我々には見えない「何か」を表現していることは感じるのだが、それはあくまで深い洞察力によってもたらされたものと素直に考えるようにして聴いた。

明日は七夕ということで、星や夜をイメージする曲が並べられたプログラム。粋ですね。最初のドビュッシーはとびっきりの美しさでした。まさしく月がきらめいているような(月がきらめくことはないが)透明感がありながらも優しく響くピアノ。ドビュッシーをもっと聴きたかったかも。モーツァルトはまさに七夕にふさわしいですね。元は全く別のタイトルのようですが。ベートーヴェンは非常に落ち着いたテンポで淡々と奏でていたのが余計に夜の風情を思い起こされました。前半で最もよかったのはショパンのノクターン。ドビュッシー同様、ピアノの音色をいつまでも浴びていたいと思うような心地よい美しさで癒されました。バラードは先月に河村さんの力強い演奏を聴いたばかりですが、演奏が違えば別の曲になるもんだと感心しました。ピアニストはそれぞれ自分の表現で自分の音楽として演奏しています。

後半は一転してリストの唯一のピアノ・ソナタ。悪魔に取りつかれたような不気味さをたたえる大曲で、梯さんもミスタッチが目立つほどの難曲。確かに夜をイメージするとも言えなくもないが、これは七夕企画とリンクさせているわけではないのだろう。。。しかし、前半の柔らかな雰囲気は吹っ飛び、不気味な弱音や、怒りにも似た強烈な強音がホールにこだまする。強烈な曲ですね、リストって。梯さんのスタイルとは異なるような印象でしたが、非常に聴きごたえのある演奏でした。

アンコールもリストで「コンソレーション」より第3曲。こちらも美しすぎる演奏で心洗われました。

梯さんのピアノは独特な節回しをするので、聴きなれた曲でも思わぬ発見をすることがある。今日の演奏で思ったのは、高音に比べて低音部の方がより目立って聴こえてきたことか。そのため今日は全般的に力強さを感じる演奏だったように思う。

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