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2004年4月29日 関西フィルハーモニー管弦楽団
みどりの日コンサート(ザ・シンフォニーホール)

演奏曲目および評価

ドヴォルザーク  チェロ協奏曲
吉松 隆  交響曲第3番


演奏者(指揮者・ソリスト)

チェロ: 古川 展生
指揮: 藤岡 幸夫

感想・短評

1年半ぶりの関フィル。これまで何度か足を運んではいるが、満足いく演奏を聴かせてもらった例が無い。今回もかなり疑心暗鬼で演奏会に臨んだ感がある。それも前回(2002年9月)、ダメダメな演奏を聴かせてくれたドヴォルザークである。しかし会場はGWの初日というのにほぼ満席で補助席まで用意されている状態。メインが現代曲のプログラムにしては非常に珍しい光景である。開演前に藤岡さんと吉松さんによるトークも行なわれ、楽しいコンサートとなった。

メインは後半なので、前半のドヴォルザークは気合いが入らないのではないかと心配になっていたが、見事なまでにひっくり返されてしまった。この曲は何度も耳にしているが、理想の演奏に近いくらいの完璧なまでの演奏だったのだ。冒頭から関フィルとは思えない音の連続だった。関フィルといえば、「弦が薄い、木管が元気がなく平坦、金管は場違いな音色を出すほどダメ、パーカッションは貧弱というパーフェクトな不出来」な印象だったのだが、定説を全てひっくり返してくれた。弦が弱いのは否めないが、全力で弾く様は関西随一ではないだろうか? 木管もクラリネット、オーボエを始め、まろやかな雰囲気を醸し出し、ホルンを始めとする金管は霧のベールをかぶったような落ち着きのある演奏でスキがなかった。古川さんのエキサイティングなチェロと相まって、しっかりとしたドヴォルザーク像を構築していたのだ。第2楽章は「これが関フィルか?」と耳を疑うような美しい調べ、終楽章では金管が冒頭こそミスったが、トライアングルでカバーするなど(笑)、良い連携が見られた。強いて難をつけるとすれば、古川さんが先走りすぎで、オケが遅れ気味だったこと。まぁ、それを差し引いたとしても良い演奏だったことは間違いない。

アンコールとして、古川さんのチェロ独奏もあった。J.S.バッハ「無伴奏チェロソナタ第1番」より。

後半は吉松隆の大作。噂には聞いていたが一度も聴いたことがなかったので、どんな演奏かと緊張感を持って望んだ。他の吉松さんの作品(そんなに知らないが)とは異なり、とても親しみの持てる曲で、映画音楽を彷彿とさせるほど情景や思いが目の前に広がるものだった。ジャズなどのリズミカルな要素もふんだんに含んでおり、初めてとは思えないほど楽しい曲。それも関フィルの会心の演奏のおかげもあったのだろう。この曲は藤岡氏に献呈されているというだけあって、細かな部分までバッチリ決まっていた(第3楽章のチェロは気にくわなかったが)。第4楽章では気合いの入りすぎたスネアが冒頭の強打でバチを飛ばしてしまって焦るなどのハプニングもあったが、最後まで勢いが衰えず、強大な曲を豪快に演じきってくれた。

今までろくな評価をしてこなかった関フィルだが、今日の演奏を聴いてちょっと考え直した方がいいのではと思った。ひた向きでまっすぐな演奏には心打たれました。

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