先月の京都市交響楽団の定期演奏会の中で、美しいクラリネットのソロを奏でていた小谷口さん。どれほどの演奏を聴かせてくれるのか興味があって足を運んでみた。経歴を見てもすごく立派。今回共演の菊本さんもスゴイ経歴の持ち主。こんなスゴイ人が京響に在籍しているのだから、管楽器陣が充実しているのもうなずける。
小谷口さんはとても笑顔がステキ。クラリネットもスゴイ好きなんだなぁと感じさせるほど楽しそうに吹いていた。そんな余裕からか、演奏も大変充実したものだった。クラリネットの曲などほとんど知らないのだが、食い入るように聴いてしまった。ドビュッシーではいかにもフランスらしい響きとユーモアあふれる旋律を、ウェーバーでは超絶技巧を惜しみなく披露するなど、まさに楽器が体の一部になったさまを見せつけてくれた。何と美しい音色だったことか。私もクラリネットを買ったもののすぐに押し入れ行きになっているので、もう一度挑戦してみたくなった。。。やっぱり良いよなぁ、クラリネット。
菊本さんのトランペットも素晴らしい。ヘルテルではコルネット?の演奏でバロックの臭いがプンプン。あまりの高音にちょっと苦しそうで、何度か音が落ちたが、楽しく聴けた。武満氏の曲は旋律が退屈だったが、フレーズごとに三脚に固定したミュートを使うなど、見ていても面白いものだった。3つのミュートを使い分ける忙しいプログの曲も面白かった。観客に背を向け、ピアノの反射板に向けて吹くトランペットは、ピアノと共鳴し面白い音になっていた。どれも結構難しい曲が多く、レベルの高さは良く分かった。
最後は珍しい、クラリネットとトランペットのデュオ。読み方が分からないタイトルだが。。。クラリネットとピアノだけが舞台上で、トランペットはバンダで始まる。これだけでも珍しさ満点かな?曲もちょっと普通ではないところが面白かったのだが、う〜ん、ちょっと表現できない。とにかく良かったことだけはいえる。
アンコールはハチャメチャでした。
フィガロの血痕(編曲:MIKAMENIKOV)
クラリネットとトランペットの曲なんてほとんどないので、小谷口さんの知り合いが作ってくれたと言っていたような。。。。とにかく混ぜこぜな曲で、次のメロディが使われていた。
1. メンデルスゾーン「真夏の夜の夢」より結婚行進曲
2. 水戸黄門のテーマ
3. マーラー 交響曲第5番(冒頭)
4. ガーシュウィン ラプソディ・イン・ブルー(冒頭)
5. プロコフィエフ ピーターと狼
6. J.S.バッハ 主よ人の望みの喜びよ
7. ベートーヴェン 交響曲第5番
この一覧を見ても分かるように無茶苦茶。それぞれのメロディを奏でる菊本さんと小谷口さんがウマイ! マーラーの交響曲第5番冒頭のトランペットによる旋律は素晴らしく、全曲を通して聴いてみたくなったほど。ガーシュウィンのクラリネットも然り。今後、京響を聴きに行く楽しみができた。久しぶりに、心から楽しめた演奏会だった。
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