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2000年1月26日 京都市交響楽団
第421回定期演奏会(京都コンサートホール)

演奏曲目および評価

プロコフィエフ  交響曲第1番「古典交響曲」
コルンゴルト  ヴァイオリン協奏曲
ハイドン  交響曲第103番「太鼓連打」



演奏者(指揮者・ソリスト)

ヴァイオリン: 渡辺 玲子
指揮: 井上 道義

感想・短評

大阪センチュリーで渡辺さんのコルンゴルトを聴いて以来、ちょうど1年。また再びその演奏がよみがえる。

まず始めはプロコフィエフ。冒頭からあまり集中力が感じられない。弦にノイズが非常に多く、時折乱れも目立った。木管もいつもの冴えがなく、ミスもちらほら・・・金管もふさわしくない音色で突出したりと・・・ しかし第3楽章は良くて、冒頭の弦による威厳ある様をバッチリ出していた。最後のピチカートはバラバラだったが・・・ 終楽章もまとまりに欠け、メリハリがないだけでなく、メロディとしても乏しかった。期待していた曲だけに残念。以前大阪センチュリーで聴いた演奏の方が上手。

曲の合間の位置替えの時に井上氏の得意なおしゃべりが始まった。京響は古典をあまり演奏しないので、今年は「古典」で攻めるらしい。「コテンコテンの古典、コテコテの古典」などと井上さんらしいダジャレで間を持たせてくれた。

コルンゴルトは昨年の名演再現なるか期待していた。冒頭からふくよかで透明感のある唄わせ方で、名演再現の兆し。腕の良さは相変わらずだった。シベリウスのヴァイオリン協奏曲のような魅力あふれる演奏をしてくれた。第2楽章は感傷的なメロディが素晴らしく申し分ない空間を作りだしてくれた。レーニのクラリネットも耳の中でこだまするような、柔らかく空気をクリーム状に変えるようなマジック。最高でした。だが、第3楽章は一変してとらえどころのない演奏になってしまった。井上氏のうねりとスピードに京響がついていってない。スピードについていくのがやっとで、切れやダイナミズムがない! 渡辺さんもギクシャクしていたので弾きづらかったのか。オケは少し音を落としすぎたという感も拭えないが・・・残念ながら昨年を上回る演奏にはならなかった。

全然期待していなかった最後のハイドン。これがまた素晴らしかった!! ハイドンは好きではないので、一昨年大阪シンフォニカー交響曲第44番を聴いた時もこれといった感想はなかった。しかし古典が得意とは思えない京響から奏でられたハイドンは何と甘美なことか。近年、バロック・古典は古楽器による演奏が増えているためか、京響の少々冷たい弦楽器の音が古楽器のような音にきこえた。さらにシャープで切れのある井上さんの指揮なのでまさに古楽古典!! あまりの美しさに目をつぶって聴いていたらちょっと寝てしまった(笑)。

今日は期待していなかったハイドンで思わぬ得をした1日だった。

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