今日も飛び入りで聴きに行った。録音の予定があるバルトークの演奏が聴けるとあって、さすがに逃すことはできなかったからだ。昨年のオケコンが素晴らしい出来だったので十分に期待がもてる。
いつも通りに客の入りは良くなく、6割強といったところか? さびしいなぁ。わたし的には非常に興味のあるプログラムなんだが、一般的にはちょっと地味なんだろうな。雨も降っていたし・・・
さて、まずはシューマン。「これが京響?!」と耳を疑うほどの濃厚なドイツ的響きが炸裂! 重低音に他の音を重ねていくあたりは、今までの京響では聴いたことがなかった。これがムント効果というものなのだろうか。弦の厚みだけを考えれば巨大戦艦並の大フィルの弦楽器に並ぶほど(あまり誉め言葉でもなかったかな・・・)。曲作りはさすがムント。知り尽くしています。細かなアクセントを付けつつ、最良のテンポを設定している。第2楽章では少し歌わせ過ぎの感が拭えなかったが、こってりと聴かせてくれた。第3楽章は冒頭の弦楽器に圧巻。この冒頭だけで、今日の演奏会は必ず大成功だと確信した。中間部のテンポを急変させるあたりはムントマジック。そして感動の第4楽章。まさに長いドラマのフィナーレの如く、華麗で且つ勇ましく、その堂々たるやもう言葉にはならないものだった。中間部の短いホルンデュオ、そしてフルート、ファゴット・・・この流れの美しさには三重丸を付けたい気分。シューマンの交響曲全集も今後のレコーディングに加えて欲しくなる快演であった。
うれしい誤算はダマーズ。今日が世界初演という意義深い演奏。すごい現代曲かと思いきや、心地よい印象派風の曲調。ラヴェル、フォーレの影響を受けているだけあり、ラヴェル的華やかさにフォーレ的な霞をかけた感じ。フルートとハープの曲は数多く存在するが、また魅力的な曲が加わった。なお、作曲者自身も開場に来ており、惜しみない拍手が送られていた。
さぁ、期待のバルトーク。所狭しと並ぶ団員にワクワク。弦によるうねりの中から聴こえたものは想像していない楽器だった。CDで聴いていると何とも思わなかったのだが、スネアとファゴットという組み合わせ。ちょっとびっくりしていたところに金管が加わる。いつも以上に京響の勢いが激しく感じた。パントマイム音楽の中にそのまま飲み込まれていく・・・複雑な曲なのにごまかしはなく、かなり完成度が高い。今までの京響ではたまに勢いに任せてあやふやな部分をごまかすような演奏がなくもなかった。録音が控えているせいか細部まで練られた音楽。最後のとどめの3発の強奏には中国の役人だけではなく、こちら聴き手もやられてしまった。あまりのパワフルな演奏に細かい感想が吹き飛んでしまったのでこれ以上書くことがない・・・とにかく痛快に決めてくれた。CDの発売はいやが上にも待ち遠しくなった演奏会であった。
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