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2003年1月24日 京都市交響楽団
第451回定期演奏会(京都コンサートホール)

演奏曲目および評価

マーラー  交響曲第6番「悲劇的」

演奏者(指揮者・ソリスト)

指揮: 大友 直人

感想・短評

今年1回目の演奏会からいきなり今年のベストコンサートにノミネートしそうなほどの演奏に出くわした。京響の演奏史上に残るほどの名演か?!

今日の演奏曲目はマーラー「悲劇的」。昨年の大フィルでもなかなかの良い演奏が聴けた。その演奏を越えるかどうかが今日の注目する点であった。この曲は大規模な編成だが、京響は大規模な曲をよくするので見慣れた布陣ともいえる。

さて、演奏の方は初っぱなから全開で突き進む。速いテンポで緊張感に充ち満ちていた。昨年の大フィルと比較して細部の描き方が非常に精密。大友氏はテンポや強弱などのアクセントもふんだんに操り、鬼気迫るような雰囲気を色濃く出していた。特に金管陣の張りや艶は申し分なく、昨年聴いたニューヨーク・フィルの音色を彷彿とさせるほどだった。この第1楽章から鳥肌が立ってしまったのは本当に久しぶりだ(初めてに近い)。第1楽章の終末部は非常に見事で、今日は大名演であることを予感させた。

第2楽章に入っても勢いは衰えないばかりか、一層の攻撃性を増して迫ってきた。戦争のごとく荒々しく、挑戦的な楽章になった。これほどまでに激しさにあふれた演奏は聴いたことがない。この楽章でも終末部が非常に素晴らしく、バスクラとコントラファゴットが消え入った後の静寂は筆舌に尽くしがたかった。

第3楽章は今回の一番の出来だったかもしれない。京響の調子の良いときの美しさが最大限に発揮されていた。さっきまでの激しさから一転、驚くほど各パートが穏やかに、そして優しく音を紡いでいた。木管だけでなくホルンのソロが完ぺきに仕事をこなしていたのが大きな収穫。これだけの出来で贅沢を言えないが、もう少し弦楽器がむせび泣くような表現を出して欲しかった。

そして終楽章へ。大フィルは最後の楽章で体力が衰えてしまったが、京響は最後まで耐えしのいだ。この楽章で大注目を浴びたのがご存知の「ハンマー」。大フィルの時は直前に舞台袖から出てきて、大きく振りかぶり、ブッ放していたが、今日はティンパニの横の狭いところに配置していたため、かなりスペース的に辛そうであった。しかし注目度は満点だ。ハンマーの存在を知らなかった人は身を乗り出して聴いていたのが何とも印象的。ハンマーは手作りのようで、15cm×15cm×60cmほどの角材に、80cmくらいの棒をさした作り。打ち鳴らすときも、場所が狭いために、足を前後に大きく開いて、ハンマーをプラカードのように高く掲げるといった結構特異なポーズをとっていた。振りかぶるとバックステージ席の観客に当たるのではないかとハラハラしてしまったが。。。そして、激しさに満ちた演奏から、最後の悲劇的な調べへと・・・諦めにも似た終結部のトゥッティ。弱音が消えると会場はブラボーの嵐に変化した。

会場は6〜7割の客しか入っていなかったが、これだけの演奏に出会えたことで会場は熱気に満ちていた。今日の公演ではいくつかのマイクが用意されていたので、FMでも放送されるのであろうか? 自主制作でも良いからぜひCD化して欲しいものだ。

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