今年最後の演奏会は年末にふさわしく「第九」。びわ湖ホールで京響を聴くのは2回目。チケットが高かったからか観客の入りは良くなく、1階席が埋まる程度。2階席の前の方(実質的には1階席に近い)で聴くことができたので初めての好位置にワクワクした。
オープニングはエグモント序曲。ホールと座席位置が良かったからか、非常にスケール感のある残響を持って聴くことができた。京響も低弦を中心としたぶ厚い弦の音色で堂々とした演奏を披露してくれた。この響きは京都コンサートホールでは聴けまい。びわ湖ホールのすごさを感じることができた。
さて、メインの第九も激しいほどの第1楽章が聴けた。山下氏の指揮は曲全体として少し早め。少しばかり「平和」「喜び」という要素に欠ける感じはしたが、この曲の持つ激しさ、感情の高ぶりというものを表していたのかも知れない。第1楽章〜第3楽章までは統一感のある好演だったのだが、第4楽章に入って一転した。まず、冒頭からオケがバテ気味だったのだ。そのままバリトンの出番に突入。今日のソリストはほとんどびわ湖ホール声楽アンサンブルのメンバーなのだが、このバリトンの萩原氏だけは違っていたのでその実力に注目していた。非常に芯が通っており、声量感がある素晴らしいできだった。第4楽章の冒頭にメリハリがなかっただけに、うれしい人選だった。その他のソリストは言うまでもなく高い実力の持ち主なので安心して聴けた。
合唱団についてはアマチュアなので同じ土俵で評価はしないが、感想としては、男声が少ないために土台が弱かった。良いところといえば、頑張って歌って突出する人がいなかったところ。ただ、ちょっと平坦な印象を受けたので、もっと元気よく歌って欲しかったかな。最後のコーダに突入すると、山下氏の指揮棒はさらに高速回転に。オケも負けることなく指揮棒についてきており、超絶な速さのまま、なだれ込むように曲が幕を閉じた。
満足のいく演奏ではなかったが、今年最後の演奏会としてはハイレベルな演奏をしてくれた京響。来年も大物の来日や関西オケの意欲的なプログラムもあるので、今年同様に忙しい1年になりそうだ。
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