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2005年8月27日 京都市交響楽団
第479回定期演奏会(京都コンサートホール)

演奏曲目および評価

ショスタコーヴィチ  ジャズ・バンドのための組曲第1番
R.シュトラウス  4つの最後の歌
プロコフィエフ  バレエ組曲「道化師」



演奏者(指揮者・ソリスト)

ソプラノ: 菅 英三子
指揮: 広上 淳一

感想・短評

素晴らしいプログラムだ。一般受けするようなありふれた曲の組み合わせでプログラミングすることが多い日本で、こういう曲目を企画するとはチャレンジャーである。ただでさえ客の入りが良くない京響の演奏会だが、あえて持ってくるところに「プライドの高さ」が感じられる。いいぞ京響!

日曜日とあってか、7割くらいは入っていただろうか? このプログラムにしてはまずまずか。さて、指揮者が登場してハプニングが起こった。指揮台に立ってから突然舞台袖に向かって歩き出した。どうやら譜面台に譜面が乗ってなかったよう。拍手で再度お出迎え。かえってこれが気分を和らげ、曲に良い影響を与えたのではないだろうか? 最初の曲はお気に入りのショスタコーヴィチの軽い組曲だから。13人という小編成での演奏された(ヴァイオリン1、コントラバス1、トランペット2、トロンボーン1、サックス3、ピアノ1、マリンバ1、鉄琴1、ドラム1、ハワイアンギター&バンジョー1)。広上さんは楽しそうに指揮をするものの、あまり起伏を付けることなく、流れるように極く自然さを出していた。しかし、京響の演奏者はこのような小編成になると力を存分に発揮する。トロンボーンが下品な音で演奏したところは、いたく広上さんが気に入ったらしく、しきりに親指を立てて喜んでいたし。そんな余裕を見ても、全く非の打ち所のない演奏だった。

2曲目の「4つの最後の歌」は京響では7年ぶりだ。菅さんの優しい歌声に合わせてか、オケもおとなしく伴奏に徹していた感じ。きれいな演奏だったが、R.シュトラウス晩年の深い落ち着きというか、高雅さというものは感じられなかった。この曲はあまり好みではないというのもあるかな?

メインはマニアックな「道化師」。CDこそ持っていたが、あまり聞いていなかったので、この1週間は予習のために聞き込んでおいた。京響にはこのような色彩感溢れる曲がピッタリくる。「道化師」というタイトルではあるものの、音楽を聴いてそのストーリーは全くつながらないため、単純に音楽として聞いた。第3曲「妻を殺した道化師たち」の息のピッタリ合ったスピード感は痛快だった。プロコフィエフはスピード感溢れる部分が多いが、それを期待以上に聴かせてくれるところが憎い。曲の終結部をクレッシェンドさせて終わるところなんかは効果的。第11曲、12曲(終曲)も乱れることなく突き進み、圧巻で強烈な音の割に節度があり、聴いていて実に気持ち良かった。広上さんも分かりやすい指揮とテンポ設定で、曲のまとめ方が上手い指揮者だと思った。楽しそうに指揮しているのを見ても良く分かる。また京響を振ってもらいたい。

今回のプログラムを見ていて、クラリネットのレーニの名前が消えていたことに気がついた。辞めてしまったのだろうか? もしそうだとしたらとても残念。でも、今の京響には私の一番のお気に入り奏者、小谷口直子さんがいるから安心なのさ。

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