元々この演奏会は岩城宏之さんが振ることになっていた。ご存じのように昨年6月に亡くなられたので、今日の指揮は岩城さんと親交が深かった代役の外山さんになったそうだ。
今日はゆとりを持って早めにホールに来た。それが幸いして、京響が誇る木管奏者による五重奏をロビーで聴くことができた。相性の良い面々なのでとても安定感があり繊細な演奏だった。やはり首席奏者が入ると演奏の格が違います!
ファルカシュ 17世紀ハンガリーの古風な舞曲
西尾牧子(fl)、高山郁子(ob)、小谷口直子(cl)、中野陽一郎(fg)、澤嶋秀昌(hr)
さて、今日のプログラムはオール・ショスタコーヴィチ。最初は派手な序曲から始まった。外山さんはいつものようにブッ飛ばすようなことはせず、緻密で理路整然としたものだった。少し冷たい感じはするものの、スケール感・シャープさが際だっていた。ポディウム席後方には金管隊を配置しており、これがウマかった。一糸乱れぬ鋭さでキリリと締めてくれた。自分はちょうどその金管隊の前に座っていたため、スゴイ音でしたが・・・。オケの木管奏者は大変だ。
2曲目はなかなか渋い演目。こういう曲を取り上げてくれる京響には感謝だ。ここでも外山さんは急ぐことなく早いフレーズを気持ち良く指揮していた。ワルツはスローテンポでとても良かった。決して暗い曲ではないのだが、岩城さんを弔うように一音一音かみしめるように聞こえたのは考え過ぎか・・・。サックスとトランペットの二重奏は幸福の時間でした。3曲目のギャロップでの爽快感は外山さんらしい。クラリネットの筒井さんも速いフレーズなのにGood Jobでした。最後の4曲目は大波に揺られるかのごとくテンポが次々に急変。楽しい曲なんだけど、なぜかしみじみと聞いてしまいました。
後半は聞き飽きた感がある「革命」。この曲でも外山さんはかみしめるように比較的スローテンポで進めていく。 感情的になることなく淡々と進めていくあたりはソヴィエトっぽくて冷たい。考えすぎだが、岩城さんの追悼はこの楽章だったように思う。しかし、特に秀逸だったのが第3楽章。遅い展開が余計に張りつめた革命前の緊迫感を表しているように聞こえた。第4楽章は一転して起伏の激しい演奏だった。冒頭のあからさまなテンポ急変こそなかったが、楽章を通しての大きなうねりは非常に効果的で良かった。さすが作曲家だなぁといらぬところで感心してしまった。京響もどのパートも安定しているのでとても完成度が高い演奏だったと思う。
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