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2008年3月15日 京都市交響楽団
大阪公演(ザ・シンフォニーホール)

演奏曲目および評価

ルトスワフスキ/クラリネットと管弦楽のためのダンス・プレリュード
アルチュニアン/トランペット協奏曲変イ長調
ショスタコーヴィチ/交響曲第5番ニ短調「革命」op.47



演奏者(指揮者・ソリスト)

クラリネット: 小谷口直子
トランペット: 菊本和昭
指揮: 山下一史

感想・短評

これまで何度となく京響の演奏会に足を運んでいるが、なんとシンフォニーホールで聴くのはこれが初めて!それも、小谷口さんと菊本さんという京響が誇る名プレイヤーのソロも聴けるというのはうれしいばかり。にもかかわらず、会場はかなり客の入りが良くなかった。見慣れない曲目がプログラムに上がっていることも原因だと思うが、大阪の聴衆はこのところ元気がない。大植さんが登場する大フィルの時だけ満員になるが、それ以外の演奏会は満員になることがないからだ。京響ファンとしてはもっと入ってもらいたかったのだが・・・

そんな気持ちを振り払い演奏に集中。小谷口さん、素晴らしかったです。ルトスワフスキのダンス・プレリュードは、明暗異なる曲が交互に演奏される短い曲だが、完全に自分の音色としてものにしていました。奇数楽章は快活ながらも節度ある明るさで上品な印象を持ちました。偶数楽章は小谷口さんの魅力満点でしょう。特に4曲目は音の入り方から消え方まで、「森林浴」ならぬ「クラリネット浴」をしているかのように自然に音に包まれた。ああ、このままの状態で瞑想にふけりたいと思えるほど(笑)。冗談抜きで鳥肌が立って次の曲まで拍手もままならなかったです。正直、上手すぎてショックを受けました。たかが趣味とはいえ、自分の吹くクラリネットとの次元の違いは何なのか。。。

菊本さんもスゴかったです。テクニックもさることながら、トランペット本来の音を見せ付けられたよう。いつものオケの中での演奏とは違い、コンクール並の本気度高い演奏だったように思う。圧巻だったのは中盤でミュートを付けた時かな?「これがトランペット?!」と思うほど、これまで聴いたことのない優しいトランペットの音色がホールに響く。目をつぶって聴いていると、木管楽器と聞き間違うような音色でした。こんなスゴい奏者がいるオケって他にあるか?! 京響のレベルの高さを見せつけるパフォーマンスだっただけに、観客がもっと入って欲しかった。

後半はショスタコーヴィチ。うーん。第5番はもうかなり聞き飽きた。。。昨年の京都の秋音楽祭の開会記念コンサートでは集中力の高い秀演を聴いているだけに期待半分だが。さて、演奏の方はシンフォニーホールの音響の良さもあり、非常に安定感のある形の整ったショスタコーヴィチでした。演奏自体には文句はないですが、山下さんの指揮はもっと突っ込んで欲しかったかなぁ。あまりにも表情が感じられないので、淡々と曲を奏でているという印象だった。ソロで出演した菊本さんは降り番だったが、小谷口さんはしっかりと首席として出演していた。ソロ出演したにもかかわらず、第3楽章では相変わらず美しい演奏を聴かせてくれました。

シンフォニーホールで初めて京響を聴いたが、やはりいつもと変わらぬ京響サウンドだった。当たり前かもしれないけど、どこで聴いてもちゃんと個性が表れているというのは良いことなんだろう。今日はソリストも堪能できてうれしい演奏会でした。

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