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2008年9月4日 京都市交響楽団
第516回定期演奏会(京都コンサートホール)

演奏曲目および評価

モーツァルト/アダージョとロンド K.617
クセナキス/ノモス・ガンマ
ホルスト/組曲「惑星」



演奏者(指揮者・ソリスト)

フルート:清水信貴
オーボエ:高山郁子
ヴィオラ:柳生厚彦
チェロ:中西雅音
合唱:京響市民合唱団
管弦楽:京都市交響楽団
指揮:井上道義

感想・短評

今日のプログラムは珍しいように思うが、実はミッキーが京響の就任記念の際に取り上げたプログラムと同一のものという。初っぱなから個性的だったんですね。

モーツァルトは最晩年の曲だけあり非常に深い趣きがある曲。陽気、軽快という印象はなく、死を迎えた覚悟を感じるような、胸に響く曲だった。ミッキーが担当したチェレスタがそのような感覚を持たせたのかもしれない。開演ギリギリにホールに着いたので、駆け込んで息が上がっていた中、心落ち着く演奏でした。

2曲目はミッキーならではの奇想天外な内容。音楽的感想を述べられない奇怪な曲だった。まず、98人という演奏者数もさることながら、パートもほぼランダムに並んでいる。いくつかの規則性も見い出せたようにも思ったが。指揮者を取り囲むように円形の布陣も存在する。珍しいコントラバスクラリネットが聴けたのは収穫。曲の骨格を創るのが打楽器で、オケの後方にほぼ均等に並んでおり、あたかも音が回転しているかのように時間差で痛打して立体音響効果を出していた。まさにミッキーワールド炸裂。譜面台は回転式の上、オペラ用のごとく譜面がデカイ。指揮ぶりを見ていると「メモリーコンクリート」を思い出したくらい。途中で上着脱いだし(汗)。音楽的構造物といおうか、空間的音響実験とでもいおうか・・・。曼陀羅を音にしたらこんな感じかな?と思った曲でした。

最後は「惑星」。演奏機会が意外に多いのか? 生で聴くのは3回目。「ノモス・ガンマ」とは異なり譜面はポケットスコア並の小ささ。極端やなぁ・・・まぁ、それだけ得意曲なのでしょうが。「火星」はなかなかの力演だった。ミッキーの粘りあるウネリが最高。特に終結部のキメ方がかっこいい。「水星」はヴァイオリンの冷たさが秀逸(本当の水星は熱いんだが・・・)。「火星」の後だけに安定感のある演奏が光った曲でした。メインと言える「木星」はちょっとアンサンブルの乱れが気になった。しかし、有名な中間部のメロディは美しかった。ミッキーはこれでもかと言わんばかりに歌わせた。この曲を聴くと、長岡花火の「フェニックス」を思い出す。いろんな想いが相まって、思わず涙が出そうになった。ホントいい演奏でした。あと良かったのは「天王星」。こういう曲は総合力の高い京響の独壇場だ。

ミッキー思い出の再現定期はどうだっただろうか? 間違いなくレベルは上がっていると思うので、満足だったのじゃないだろうか? こういうミッキーワールド全開の企画をもっと聴いてみたくなった。

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