京都コンサートホールでは珍しい演奏会形式でのオペラ公演。ホールに入ると、舞台上のオーケストラを縦に二分する水色の通路が目に入った。京都コンサートホールにはオケピがないので、舞台は少しせり出して作られており、後方には一段高い舞台も用意された拡大版ステージだった。舞台の最前列にはイリスの象徴(そのもの?)であるアヤメが並んでいた。照明も多数設置されていて、オケと役者のどちらも主役となるステージは期待を高めてくれた。会場は空席がチラホラあったが、マニアックな演目ということを考えると、よく入っていた印象だ。
さて、第1幕のプロローグから音楽が炸裂する。冒頭こそ暗くあやしげなメロディが奏でられるが、その後、このオペラの終結となる「太陽讃歌」が高らかに序曲的に演奏された。合唱団員が虹色とオレンジ色のカラフルな衣装を着て参加を歌い上げた。あれは太陽の子なのかな?いきなりのクライマックスなので圧倒されましたが、合唱も良く練習されていてうまかったです。
指揮者の隣に横たわっていたイリスが起き上がり第1幕に突入。イリス役の小川さんはアヤメのような質素な着物(というか浴衣)を着ており、その父親も質素な着物で貧しさが強調されていた。細かく書いているとキリがなくなってくるので、かなり端折るが、その後に登場したオオサカとキョウトの2人との衣装の対比が分かり過ぎるほど分かりやすい。イリス役の小川さんは清楚でとてもイメージに合っていたが、カラダの割にオオサカさんの声は響かず肩透かし感があった。キョウトさん役の晴さんは役柄に合っていて、落語家みたいで楽しかった。第1幕での一つの見どころは人形師かもしれない。元々どのような演出をされていたのか分からないが、日本特有の人形浄瑠璃をふんだんに取り入れた演出は見ていて得をした気分だった。遊郭のシーンや、死後?のシーンなど、舞台転換は大変だったと思いますが、限られた設備の中で上手く演出をされていたのは拍手モノです。
オケはよく鳴っていましたねぇ。オケピではなく舞台にいるからかもしれないが、ストレートに響く音楽はとても盛り上がりが良いです。オペラも舞台上で演奏すべきですね(笑)。指揮者の井上さんも演技に参加するなど、相変わらずなショーマンシップでしたが、音楽は確かでした。やりたい放題ではなく、このところ音楽に深みが増していて充実感は高いです。
マニアックな演目でしたが、音楽やストーリーを考えるともっと取り上げられてもいいような作品に思えました。なかなか再演はないでしょうが、今度は演奏会形式ではない形で観劇してみたい。
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