前回ラハティ交響楽団の演奏会に行ったのが、初来日したちょうど7年前。あの時の衝撃が忘れられない。ヴァンスカ=ラハティにとっては最後の日本ツアーとなるため聞き逃すわけにはいかないのだ。しかし、会場は散々たる空席の山。1階席の左右ブロックおよびバルコニー、2階バルコニー、3階正面席はほとんど空席だった。7年前はまだ知名度が低かったかもしれないが、今となっては押しも押されぬ一流オケと認識されているはず・・・。なのに、他の来日公演に比べチケットも安く、おまけに客の入りも悪い。なぜなんだろうか? まさか未だに「ウィーン・フィルやベルリン・フィルだけが一流オケだ」なんて考えている人がいると言うことなんだろうか?
複雑な気持ちで演奏会に突入。最初は北欧の曲。弦楽器が抜群に上手い。北欧らしいというか、らしくないというか、ヴァイオリンは暖かな音で、まるでヴィオラのような深さを醸し出していた。さすがに知らない曲だったので、よく分からなかったが、北欧らしい「環境音楽」という感じで実に心地よかった。
続いてはグリーグ。アンドラーシュ・シフに見いだされたというフィンランドの新星とのことだが、残念ながら平凡で、「楽譜通り弾いてます」って感じのつまらない演奏だったように思う。そもそも先週はファジル・サイのピアノリサイタルに行ったばかりなので、並大抵の演奏ではビックリしなくなっているのは確か。。。オケの方は木管がなんだか好きになれない。そのほかは悪くなかったんだけど。アンコールは、グリーグの叙情小曲集より1曲披露してくれたが、素直な演奏だったかな? 北欧のピアニストらしい冷静な演奏が魅力的と言えば魅力なのかもしれない。
最後は、前回も聞いたシベリウスの2番。やはり十八番は気合い入ってました。あまり響きのきれいではない兵庫芸文ホールなのが残念だったが、北欧の大地や風景が思い浮かぶような演奏でした。特に第2楽章は絶品。ヴァンスカは間(休符)の使い方が実に効果的で、ものすごく曲に引き込まれます。弦楽器は申し分ないほどハイレベルでしたが、やはり木管は今ひとつ。金管も悪くないけど、ちょっと濁り気味の響きはきれいとは言い難い。この辺がちょいと惜しい。フィナーレはテンポをかなり落とし感動を誘う。ただし、金管が最後だけがんばって咆えなくても・・・と思いましたが(笑)。
これだけでも満足たっだけれど、やはりサービス精神旺盛のヴァンスカ。アンコールも気合いの入った名演でした。
シベリウス 「悲しきワルツ」、交響詩「フィンランディア」。
特に「悲しきワルツ」では極限までのピアニッシモが度肝を抜かれた。いくら響かないホールといってもここまでの弱音はスゴイ! フィンランディアは言うまでもなく、自国の誇りを高らかに歌い上げるかのような堂に入った演奏。アンコールにしては贅沢すぎです。
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