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2006年10月17日 ルツェルン・フェスティバル・イン・東京 2006 
室内楽コンサート III
NESCAFE GOLDBLEND Presents(サントリーホール・小ホール)

演奏曲目および評価

ブルックナー  弦楽五重奏曲 ヘ長調 WAB 112 (*1)
モーツァルト  ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲 K.423 (*2)
ブラームス  弦楽六重奏曲第1番 変ロ長調 op.18 (*3)

演奏者(指揮者・ソリスト)

ヴァイオリン:コーリャ・ブラッハー (*1)(*2)(*3)
ヴァイオリン:アントン・バラコフスキー (*1)(*3)
ヴィオラ:ヴォルフラム・クリスト (*1)(*2)(*3)
ヴィオラ:ヘンリク・シェーファー (*1)(*3)
チェロ:クレメンス・ハーゲン (*3)
チェロ:イェンス=ペーター・マインツ (*1)(*3)

感想・短評

もともと行く予定にはしていなかったが、昼のマスタークラスを聴講したついでに行こうとチケットを入手していた。しかし、よく考えればスゴイ豪華な面々による室内楽な上、あまり聴くことができない選曲のプログラムだったので行って正解だった。そして、演奏を聴いてその気持ちが一層強くなったのも事実。会場はそれほど満員というわけではなかったものの、フェスティバル参加者や関係者も客席で鑑賞しているなど、普段は触れられないような独特の雰囲気だった。同じ列にはアルバン・ベルク弦楽四重奏団のエルベンさんを始め、有名奏者も多く座っていた。

さて、最初のブルックナーは珍しい曲だから?なのか、幾分アンサンブルの乱れが気になった。しかし、そこはツワモノ奏者たち。力でねじ伏せるような力演で大いに聴かせてくれた。各々の奏者が自発的に(好きなように?)演奏していたために生き生きとしていて面白かったと思う(特に第2楽章など)。

次は、ブラッハーとクリストのベルリン・フィル出身者によるデュオ。ブラッハーの明るいヴァイオリンがモーツァルトに合っていたものの、ちょっと粗さも目立った。これも十分すぎる実力を持っているから言えること。クリストの芳醇なヴィオラとの絡みは実に心地よかったです。楽しいデュオでした。

後半はブラームス。実はこれが爆裂的な名演でした。元々重厚でブラームスらしい曲なのだが、その想像をはるかに超えるほど重厚で高貴な演奏だった。特に第1楽章は通常よりも遅めのテンポでじっくり演奏していたのがウレシイ! そして、何がスゴイかといったら、まずはその音量。最初はあまり音響的に芳しく思わなかった小ホールを「これでもかっ」というほど響かせてくれたからだ。その次に各奏者の気合の入れようが違ったこと。特にチェロのクレメンス・ハーゲンは髪を振り乱してモノスゴイ勢いで弾きまくっていた。それがまた寸分の違いもなく精確なのだから驚き。本気の室内楽はフルオーケストラをも超える。そんな身震いするほどの演奏が聴けて本当に幸せだった。冒頭でも書いたが、「ついでに聴いた」とは口が裂けてもいえないほどの演奏でした。あぁ満足満足。

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