びわ湖ホールの大ホールで行われた公演。さすがにホールが大きすぎたか。1階こそは9割ほど埋まっていたものの、4階は5割、2階は2割、3階に至っては18人しか観客がいなかった。これほど空席の目立つ演奏会はあまり記憶にない。まぁ、小ホールがちょうどいいくらいの演奏会だから。
さて、演奏の方は、さすがにホールが巨大すぎてボリュームに欠ける点もあったが、おおむね好演を聴けたと思う。1曲目のエルガーは、非常にさらっとしていて、甘ったるい演奏が嫌いな人にも受け入れられるものだった。
次は「クロイツェル」。これを最後に持ってくるのかと思いきや、2曲目で披露した。やはり充実した演奏で、細い身体から奏でられているとは思えないくらいの堂々とした演奏だった。テクニックがあるだけに非常に音が正確で、聴いていて安心した。途中、ピアノの譜めくりの人が油断していて、及川氏が自分でバサッと譜面をめくるシーンなんかもあった。それだけに乗っていたのかも。第2楽章では2人の息がぴったりで、曲が終盤に進むにつれて上り調子になっていた。
3曲目は「ノクターン」のヴァイオリンバージョン。物悲しさの中に清らかさが良く現れていてとても心地よかった。
及川氏のソロによる「革命」は、いつものように嵐のように弾きまくる! しかし、なぜか単調な感じに聞こえてしまうのは? 悪い演奏ではないのだが。。。
リストはさすがに超絶的な曲で聴き応え十分だった。絶えずリズムを刻む高音がどうも気になってしまったが、気持ち良く、爽快に弾ききってくれた。さすがにこれは聴衆も大喝采。
次は知らない曲。ポンセ?大洋の選手か?!と思ってしまったが、清涼感あふれる曲で、実に心地よいものだった。下手するとしつこい曲になってしまう要素もありそうな曲だが。
「アヴェ・マリア」はヴァイオリンにぴったりな曲。声楽曲はヴァイオリンや木管などが良く似合う。ヴィオラ級の低音と、ヴァイオリンの伸びのある高音の2種類で歌っていた。
ハチャトゥリアンは編曲がユニーク。ヴァイオリンとピアノによるバージョンは初めて聴いたが、意外といけた。超絶技巧の曲というよりはスリリングな現代曲といったような印象を受け、また違った側面を見ることができた。
「ハンガリー舞曲」はオケやピアノ連弾よりもこちらの方が良く似合っているのでは。適度の表情付けもあり、クセのない演奏でとても良かった。しかし、室内楽(カルテットとか)でも面白いと思うのだが、なぜそのような編曲版がないのか不思議なくらいだ。
最後は嫌いな曲なのだが、今日の演奏を聴いて少し好きになったかも(笑)。テクニックは抜群で、正確な演奏に感心した。
アンコールでは、クリストスコフ「リトル・トッカータ」、宮川彬良「Takedano Komoriuta」が演奏された。とてもいい曲で会場からも惜しみない拍手が贈られていた。
終演後、サイン会が行われた。かなり流れ作業のような形式だったのでちょっと不満かな。今日の演奏会は、会場の入りが良くなかったことと、ホールの大きさをのぞけば、値段の割に楽しめたものだった。
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