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2007年11月7日 ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
(ザ・シンフォニーホール)

演奏曲目および評価

R.シュトラウス/交響詩「ドン・ファン」op.20
R.シュトラウス/交響詩「死と変容」op.24
ブラームス/交響曲第1番 ハ短調 op.68



演奏者(指揮者・ソリスト)

管弦楽:ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:クリスティアン・ティーレマン

感想・短評

ドイツを代表する大物オケの登場。なかなかお目にかかれないので非常に楽しみだった。しかし、世間的にはそうでもないのか?会場は7割強程度の埋まり具合(最終的には9割近くなってましたが)。それもそのはず、いくら大物とはいえ、チケットが高すぎるのだ。S席が25,000円、一番安い席でも13,000円もするのだ。人の入らない大阪公演でこの値段設定は致命傷ですね〜。

そんなことはさておき演奏の方の感想ですが、「いきなりかよ!」って言いたくなるほど、ドイツ全開の演奏でした。ベルリン・フィルほどの「完璧さ」は感じられなかったものの、アンサンブル能力は際立っていた。全くスキがないほどの濃密な音の洪水。各パート、各フレーズが見事なまでに有機的に連携していたからだ。「これが第一級の演奏なんだなぁ」としみじみと音楽に浸ってました。ティーレマンの指揮は堂に入っていて、巨匠の風格を感じさせた。ゆったりとしたテンポが余裕の証だ。「ドン・ファン」はホルンとオーボエの活躍が光っていました。

「死と変容」も「ドン・ファン」同様のアプローチ。何が驚いたって、マーラーのシンフォニーかと錯覚するような壮大なスケールだったこと。1時間以上聴いているような感覚でした。前半で若干間延びしたような場面もあったが、粘っこい演奏は十分に楽しめました。この曲をここまでじっくりと聞かせてくれる演奏にはなかなか出会えないのではないだろうか?

メインはブラームス。この曲はさすがに聴き飽きているので期待していなかったのですが、正直、あまりの面白い演奏に夢中になってしまいました。こんなユニークなブラームスは聴いたことがない!R.シュトラウスとは異なり、比較的速めのテンポで曲は展開され、いたるところにティーレマン独特の表情が盛り込まれていた。今日の演奏では第1楽章の反復が用いられた。その反復の直前の箇所で極端にテンポを遅くする個性っぷり。すげー。曲を通してのテンポが絶妙に揺らいでいるので、不思議とわざとらしさが感じられない。各所にテンポや強弱の変化があり、全く飽きさせない第1楽章でした。

第2楽章、第3楽章は弦の美しさと木管の妙技に酔いしれる。R.シュトラウスの時とはTop奏者が総入れ替えでした。意外と素直な演奏でした。はやり両端楽章が素晴らしい。第4楽章も第1楽章と同じようなアプローチ。驚きは、弦楽器による有名な主題の直前部分。ホルンとトロンボーンによる美しいメロディを極端に遅くしたあと、5秒以上もの沈黙を挿入。やるなぁ・・・。こんなこと普通の演奏でやったらブーイングやな。。。しかも、それに続く主題はしつこさがなく、テンポも速めで清清しいスタイル。意表つきまくりです。どの表情も全く聴き逃せない、パワーやスピードでごまかしたりしない、新次元のブラームス。初心者には向かず、玄人向けの演奏スタイルといえるのではないだろうか? フィナーレもたっぷり歌って、55分近い長大な演奏が終わり、万雷の拍手が会場を襲った。

驚くのはまだ早い。なんとアンコールでは、ワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より第1幕への前奏曲が演奏された。太っ腹!今度はかなりのハイテンポで始まるが、テンポも強弱も自由自在。シンフォニー級の前奏曲でした。もう満腹です。

年末も近づく中でのメジャー公演。間違いなく今年のベスト公演にノミネートされる素晴らしい演奏会でした。これなら値段も高くない!(かな?)

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