2度目のムター。前回もこの西宮のホールで聴いているが、あの時はリリースされたCDと同じ話題のプログラミングだったこともあり非常に注目されていた感がある。もちろん、現代を代表する大物演奏家なので、今回も注目はされていたはずなのだが、、、会場はかなり寂しい動員数だった。原因はこのホールいつものことだが、チケットの値段設定が悪いということ。他のホールと比較してもそんなに外れた設定にはなってないと思うが、音響や視界を考えるとどうしても割高感があるんだろう。1階席後方半分、1階バルコニー、2階バルコニー、2階前方、3階前方はほぼ壊滅という状態だった。あまりにキレイくっきり分かれているので居心地が悪い。演奏家の目にはどのように映ったことだろうか?
さて、そんなことはどこ吹く風。演奏の方は何も文句のない美しいヴァイオリンそのものでした。前半は穏やかでとても美しい名曲。とはいえ、そんなに耳にする曲ではないと思う。特にモーツァルトは一聴しただけではモーツァルトとは分からない曲だ。ソナタと言いながらも2楽章形式だったり、ヴァイオリン・ソナタといいながら、実体はヴァイオリン付きピアノ・ソナタだったりと面白い様相の曲だ。この曲好きです。シューベルトも好き。何だか優しい気持ちになる曲っていいですよね。
前半は、そんな感じで楽しめた。が、ムターの真骨頂はむしろ後半なのだ。圧巻はルトスワフスキ。ムターに献呈されている曲だけあり完全に手中に収めた演奏だった。現代曲的な複雑さなのだが、どことなく親しめる曲だったので楽しかった。サン=サーンスも予習はしていなかったのだが、清々しくも熱い曲で、とても充実したものだった。演奏が美しい、美しすぎる。オルキスのピアノも美しすぎる。最終楽章のスピード感はムターならではのものでした。マニアックな曲だけど、もっと人気が出てもおかしくない曲だと思った。
アンコールは恒例?の大盤振る舞い。観客の要り具合は関係ないようでした。
クライスラー/ウィーン奇想曲
ブラームス/ハンガリー舞曲 第1番
クライスラー/愛の悲しみ
ハンガリー舞曲なんかはコテコテすぎてオルキス氏も合わせるのに精いっぱいな感じだったのが面白かった。現代最高のヴァイオリニストはどんな曲もしっかりと聴かせてくれた。素晴らしい演奏で、安心して曲を髄まで楽しむことのできる演奏会は貴重ですね。
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