久々にドイツの大物オケの登場だ。ドイツの放送オケとしては過去に、バイエルン放響、フランクフルト放響、シュトゥットガルト放響を聴いているので、これで4つめということになるかな? 特にフランクフルト放響では、今回と同じマーラーの5番を聴いているので、実力対決にも注目だ。
1曲目はまったく期待していなかった(というか、好きな曲ではない)シューベルトの「未完成」。さすがは本場ドイツのオケである。重厚で情緒たっぷりのシューベルトだった。オケの音色に加え、エッシェンバッハのしつこいくらいの解釈は、好きな曲でないだけにくどすぎた。ただ、重苦しいブラームスばりの演奏には聴き応えがあった。
マーラーもこんな感じなのだろうか? そんな予想を思い浮かべながらメインプログラムへ。ここで大きな罠が待ち受けていた! なんと冒頭のトランペットがやってしまったのである。
「パ・・・・・ パパパパ〜ン パパパパ〜〜〜ン」
いきなり大きく落ちてしまったのだ! プロのオケはめったに大きなミスはしないので、最近は信頼して聴いていただけに、いきなりの不意打ちに会場が一気に凍りついてしまったのはいうまでもない。しかし、トランペットのソロの後のトゥッティは壮大なもので、「これがドイツオケだ」と言わんばかりのブ厚い演奏。その素晴らしさに浸っていると、またトランペットが同じフレーズでやってしまった! どうなってるんだ?! そのトランペット奏者もショックを隠しきれないようで、首を小さく傾けたり、無意味な笑みを浮かべたりと、見ていられなかった。それに連鎖するように、ホルンも目立たないがミスを連発。全体としては素晴らしい演奏を聴かせていたのに残念。。。
オケの方は響きは申し分ないが、何かギクシャクした感じが随所に聴き取れた。その原因はエッシェンバッハの解釈である。はっきり言ってあまり好きではない「キワモノ」に入る。シューベルトのときと同じように、必要以上に感情を移入させ、原形とは異なる歪んだ曲の流れとなっていたからだ。バーンスタインのように素直な感情の爆発であれば共鳴できるのだが、エッシェンバッハの場合は見事に干渉してしまった。悪く言ってしまえば、なんかウソっぽいのだ。と文句ばっかり言うものの、一風変わったマーラーなので演奏としてはそれはそれで楽しむことができた。第4楽章などはバリバリに情緒的な演奏で美しかったし、第3楽章や第5楽章は妙なところにタメがあったりと、珍しいものを聴かせてもらった感じである。
クリストフ・エッシェンバッハ |
最後までトランペットは不安定なまま。70分間ずっと緊張感(ハラハラ感)をもって聴いていたので、ものすごく疲れてしまった。エッシェンバッハはこの演奏に満足できなかったのか? それともサービス精神が旺盛なのか? アンコールを2曲もやってくれた。
ドヴォルザーク スラヴ舞曲第8番
スメタナ 道化師の踊り
マーラーの曲の流れが良くなかっただけに、どちらの演奏も大変ノリが良く、流麗にして華麗に決めてくれた。「マーラーの後でアンコールなんか・・・」という感じは大いにあったのだが、このアンコールが一番良かったかも?!
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