今年2度目の新日本フィルは、同一プログラムを2公演続けて聴く挑戦をした。大フィルでは何回か挑戦しているが、それ以外のオケでは初めてなので少し期待。目玉は何といっても合唱とオルガン。オケの魅力もさることながら、今回はそっちが主役なのだ。
期待にそぐわぬ圧倒的なレベルの高さだった。関西のオケの演奏会では、合唱はまさに「アマチュア」といったところなので、演奏会全体の完成度はどうしても低く感じてしまう。しかし、晋友会合唱団ともなると、世界の並み居るオケなどとも競演しているためレベルがかなり違う。これでもアマチュアか?と思ってしまうほどなのが驚きだ。はじめの曲は「トリスティア」。かなりマイナーで、録音すらほとんどない曲。3曲からなるが、それぞれ曲想が異なる。1曲目は「宗教的瞑想」。合唱の壮麗さとホルンの活躍がとても魅力的だった。2曲目は「オフィーリアの死」。合唱と静寂の融合が実に美しかった。3曲目は「ハムレット最終場面のための葬送行進曲」。これはベルリオーズの特徴が最大限に発揮された曲。「テ・デウム」や「勝利に葬送の大交響曲」と似通っている。短いがとても劇性に富んだ曲。何よりユニークだったのは、ホール(客席)を取り囲むようにして配置された合唱団。パートもランダムに並んでいた。このようなベルリオーズらしいステレオ的な演出は生演奏の醍醐味だ。
「テ・デウム」の前に東京少年少女合唱隊によるアカペラが演奏された。日本を代表する天使の歌声はさすがに素晴らしかった。数年前のベルリン・フィルとの競演が思い出された。40名ほどの天子たちに心洗われる気分だった。
さて、最後は荘厳な音の建造物「テ・デウム」。この曲もオルガンやテノール、合唱などを有するために演奏機会は極めて少ない。ベルリオーズの作品の中で最もお気に入りなので、今回はとてもうれしい限りだ。テンポを抑え、ゆっくり、そして堂々とした演奏だった。ネルソン氏の指示によるのだろうが、合唱を強く打ち出した演奏となっており、曲の素質が良く伝わるのもだった。今回の演奏では、第2曲の後と、最後の行進曲は演奏されない通常バージョンだったが、それがベストのものだということを証明するような内容だった。オケは終始伴奏に徹するような働きで、極く自然に合唱を後押ししていた。もう少し金管が顔を出しても構わないのではと思う部分もあり、ちょっと惜しいところだった。
すみだトリフォニーホールには初めて足を運んだ。2日間とも1階席だったのでその他の階は分からないが、音響的には好印象だった。何にしても、オケ、合唱ともに2日間通して高いレベルの演奏だった。
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