今年もやって来ました。秋のN響演奏会。今回は巨匠サヴァリッシュということもあり、どれだけ重厚な演奏を聴かせてくれるのか非常に楽しみにしていた。ただ、今回残念なのは風邪を引いてしまって聴く体制を万全にできなかった。ボーッとしているために耳がおかしく、ボヤーッとしか聞こえてこない。ホールなのにモノラルに聞こえる感じ。あああ。。。
さて、演奏の方はというと申し分ないできであった。まず驚いたのがオピッツのピアノのうまさ。いままで多くのピアノ演奏を聴いてきたが、これほどまでに完ぺきで暖かみのある演奏は聴いたことがなかった。まさにピアノが歌っている感じだった。その演奏をいっそう引き立てていたのがサヴァリッシュ指揮のN響。コンチェルトであるにもかかわらずピアノ・指揮・オケが三位一体となってこれほど溶け合った演奏は滅多に聴けない。特に第2楽章はこの世のものとは思えないほどに心地よかった。いやはや、恐れ入りました。また、第1楽章のカデンツァはCDでよく聴いていたものとは異なりかなり長く、そして活力に満ちあふれていた。
ブラームスはサヴァリッシュの独壇場。冒頭からのけ反るほどの重厚なサウンドが「響かない」京都コンサートホールに響き渡った。この分厚いブラームスは10年ほど前に聴いたベルリンフィル以来とも言えるほどだった。サヴァリッシュはテンポをゆったりと取り朗々とブラームスを歌い続けた。N響もそれにきちんと応え、見事にドイツ音楽を完成させた。一つ残念だったのは金管が少しばかりイメージが違ったところか。第4楽章で少しのミスもあったし。何にしても弦はパーフェクト。これでブラームス演奏も卒業かな?
終演後はサヴァリッシュにサインをもらおうと思ったが、高齢のため付き添い人にもたれ掛かるように出てきたこともありさすがに頼めなかった。でもオピッツとN響の団員数人にサインをもらったので、いいお土産ができた。またサヴァリッシュの演奏が聴けるかどうかそれだけが気掛かりである。
ゲルハルト・オピッツ |
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