ちょっと久々の大フィル。今回は、なんと言ってもなかなか演奏されないショスタコーヴィチの4番が聴けるとあって、いやが上にも期待される。ただ問題点は大フィルということか・・・
その前に、1曲目はウォルトンのヴィオラ協奏曲。独奏はNDRのトップ奏者の深井さん。曲は全く聴いたことなかったのでかなり眠かった(地味な曲だから・・・)。オケは地味な曲なりに控えめで好感が持てたが、ヴィオラソロが少し不安定。ヴィオラは難しい楽器だと思うが、最後まで安定せずに終わってしまった。音色のふくよかさ、渋さはいいんだけど。中でもよかったのは第2楽章か。特にオケの控えめな輝かしさが光っていた。大フィルらしからぬ?!演奏に満足。
さて本題に。ショスタコーヴィチの交響曲第4番は15曲ある交響曲の中でもひときわ騒々しい曲。というか狂気荒れ狂う作品。いつもの大フィルだったらどんな恐ろしいことになるのか・・・ 期待と恐怖のなか臨むことに。
冒頭から若干速めのテンポでシャープに切り出される。そして大音響の嵐。これが素晴らしい! いつもだったら耳について不快とさえいえる大フィルだが、なんとまとまりの良いことか! 大音響のためにごまかすというところが全く見られない。細部まできっちり描いているのだ。特にショスタコーヴィチ演奏で最も重要といえる木管陣の充実が素晴らしかった。出色はピッコロとファゴット。またパーカッション陣もいつものように場違いな音を鳴らすことは決してなかった。金属的とさえいえるマリンバの強打が一層この曲の背後に潜むものを表していたと思う。
第1楽章最後の猛嵐の後のコールアングレのソロはなんと心休まったことか。100点満点のまま第1楽章が終了。いつもであれば体力切れでこのままだれてしまう大フィルであるが、全く集中力が途切れなかった。そのまま第2・3楽章へと突入していく。これはかなりの名演と評したい。強奏の連続で演奏しやすいという面もあるだろうが、集中力を持続させた大フィルの素晴らしい演奏は今まで例を見なかったのが今回の大きな収穫。
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