非常にマニアックなプログラムにも関わらず、会場は7割近く埋まっていたように思う。それも岩城氏の復活を祝ってのことだろうか。
カリンニコフは予習しなかったので非常に残念だった。というのも、大フィルの今日の調子はすこぶる良かったのだ。カリンニコフも初めて聴くわりには心地よく曲に入り込むことが出来た。叙情豊かな曲であり、最近とみに人気が出てきている理由がよく分かった。まだこんなメロディアスな交響曲が埋もれていたとは・・・完成度的にはそれほど高いとは言えない感じなのだが、映画音楽を想わせるような軽快さと心地よいメロディ。主題となるメロディはまさに「癒し」系であった。
第2楽章はハープの連続音が耳につき、ちょっと不安な感じにさせられたが、第3楽章での快活さ、第4楽章での主題を用いた華やかさなど、実に聴き所の多い曲だった。オケも珍しく良かったのだが、ホルンとクラリネットがちょっと。それを埋め合わせてくれたのが、弦のメロディとトランペット・トロンボーンの直線的な響き。心地よかった。
藤家さんの曲は非常におもしろかった。打楽器は15種類以上あっただろうか。弦・管の使い方はロマン派の流れを汲んでいるようだったが、打楽器が非常にリズミカルに働き、現代曲にも関わらず聴きやすい構成になっていた。ただ、テーマとの関連性についてはよく分からなかった。
メインはこれか? これをメインに持ってくるとは意欲が伺える。しかし、さすがベリオ。楽器の並び方からして違う!第2ヴァイオリン?がティンパニの横に並んでいるし・・・8人の歌手?はそれぞれマイクを持って絶えず「ブツブツ」歌って(しゃべって)いる。複雑で現代曲らしい現代曲なのだが、今日の大フィルは切れがあり、非常に冴えていたので、曲にグイグイ引き込まれた。注目の第3部はシャープさこそ無かったものの、楽しさは十分。バッハから現代曲に至るまで数々の曲がちりばめられており、何曲あるのか数えているうちに途中で分からなくなってしまった。
今日の演奏会はそれほど期待していたものでもなかったのだが、大フィルの出来が良かったのと、元気な岩城氏が見れたのと、珍しい曲が聴けたという満足感に浸れた演奏会であった。
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