関西を中心としたクラシックコンサート報告サイト「大音楽惑星」
Home Concert Report コンサートのススメ CD Review リンク集 kotarinette
 大音楽惑星 ホーム > コンサート報告 > 2003年 > 大阪フィルハーモニー交響楽団 第368回定期演奏会
クラシック・コンサート報告 コンサート報告
■年度別

■コンサートランキング
MANAITA.com
コンサート名・公演名

2003年5月10日 大阪フィルハーモニー交響楽団
第368回定期演奏会(ザ・シンフォニーホール)

演奏曲目および評価

マーラー  交響曲第2番「復活」

演奏者(指揮者・ソリスト)

ソプラノ: 菅 英三子
メゾ・ソプラノ: 寺谷 千枝子
合唱: 大阪フィルハーモニー合唱団
指揮: 大植 英次

感想・短評

大植 英次朝比奈氏の後任として大フィルの音楽監督に就任した大植氏。今日が就任披露演奏会となる。前売り券が早々に完売していたこともあり、当然会場は満員状態。大フィルで満員になるのは朝比奈氏の時以来ではないだろうか? 大植氏はご存知のように、日本人として初めてバイロイト音楽祭で指揮台に立つことが先日決まったホットな話題に事欠かない注目の指揮者ともいえる。大植氏が関西では巨艦の大フィルをどのように変えて行くか非常に楽しみなところ。

就任記念演奏に選んだ曲がマーラーの「復活」だから、その意気込みはすごい。数々のマーラーを聴いているが、この第2番は過去にベルリン・フィルで聴いて以来2度目である。BPOの時は、合唱もスウェーデン放送合唱団だったので、比較するのは到底不可能であるが、私が最も愛する曲の一つなので期待は大きい。

さて、演奏の方は冒頭から緊張感がみなぎる。非常にスローテンポで噛みしめるように動かしていく。このあたりはバーンスタインの意志を継いでいるといったところか。抑えるところは徹底的に抑え、爆発するところは勢いよく爆発させる。ダイナミズムにあふれる大植氏の指揮ではあったが、残念なことにオケがそれに十分応えているとは言えなかった。最近は調子を上げてきている大フィル(特に金管)だったが、今日は元の大フィルに戻ってしまった感じだ。特にいけなかったのがトランペットとトロンボーンではなかったか。ミスが多すぎる。金管に限らず大植氏の指揮にオケ全体がついていけておらず、バランスの悪さを感じざるを得なかった。

第2楽章はあまりにも単調だったのでコメントは避ける。第3楽章は一番の出来に感じた。ミスが少なかったこともあるが、音響的なバランスも良かった。第4楽章の天上的な美しさが必要な場面では、金管に清楚さがなかったために気分は出なかった。ただ独唱はうまかったので許せるところか。聴かせどころの終楽章も状況は相変わらずで、やけっぱちな強奏が目立った。合唱団はいつものごとく特に上手い訳ではない。今日に関しては全体的にピッチが低くて「復活」を謳うどころか、暗〜い葬式のようだった(テナーはピッチ高過ぎ)。いろいろな難を抱えながら、クライマックスは終わり良ければすべて良しといった感じで壮麗に曲を閉じた。

演奏はイマイチだったものの、聴衆からは最大限の賛辞が贈られていた。スタンディングオベーションのおまけ付きで。団員が引き上げたあとも舞台に呼び出されるなど、定演としては異例のものとなった。演奏の善し悪しよりは「ようこそ大阪へ!」という歓迎の念がほとんどだったと思う。

終演後、大植氏にサインをもらいに行ったが、これもまた大フィルの定演としては異例の大混雑で、大物オケに匹敵するほどだった。それでも大植氏は一人ひとり丁寧に対応してくれ、人柄の良さを感じることが出来た。大阪についての感想を聞いてみると、聴衆の熱狂も手伝ってか「大阪はいいねぇ〜」と上機嫌であった。次の演奏の時には大フィルが大植氏の指揮棒にしっかりとついていってくれることを切に臨む。

2003年コンサートカレンダーにもどる

Copyright