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2003年11月28日 大阪フィルハーモニー交響楽団
第373回定期演奏会(ザ・シンフォニーホール)

演奏曲目および評価

モーツァルト  交響曲第29番 K.201
ブルッフ  ヴァイオリン協奏曲第1番
R.シュトラウス  交響詩「死と変容」
R.シュトラウス  楽劇「サロメ」より「7つのヴェールの踊り」




演奏者(指揮者・ソリスト)

ヴァイオリン: イダ・ヘンデル
指揮: シュテファン・ザンデルリンク

感想・短評

派手なんだか地味なんだか良く分からないプログラムだが、今日の見どころは、やはりシュテファン・ザンデルリンクだろう。言うまでもなく、父親は巨匠クルト・ザンデルリンク。さらに、兄は大阪シンフォニカーの音楽監督だったトーマス・ザンデルリンクだ。しかし、シュテファンは聴いたことがなかったのでどれほどの実力があるのか未知数。さてその出来栄えは?

1曲目はモーツァルト。高校〜大学のころ良く聴いていたなじみの曲だけに懐かしさがいっぱいだった。特に変わったことをした訳ではないので、素直な演奏。オケも頑張りすぎることなくおとなしく演奏していたのが好印象だった。

さて、あまり期待していなかったのが、イダ・ヘンデルのヴァイオリンによるブルッフ。ヘンデルさんは5年ほど前に、サイモン・ラトル指揮バーミンガム市交響楽団の演奏会で聴いたことがあった。しかし、その時の印象としては張り付くような音色に特徴があったものの、あまりパッとしない演奏に少しがっかりしたものだ(オケの演奏の上手さが目立った)。それだけに期待していなかった。ところがどっこい、良く聴いてみると、実に味のある演奏である。5年前に聴いたときと変わらぬ張り付くような音色。75歳の老齢のため技術的には厳しい部分も多いが、それを排除して聴けば、年の功をバカにできない奥ゆかしさがにじみ出ていた。これぞヴァイオリンの女王として未だに人気が絶えないところなんだろう。骨董品的な演奏とでも表現したらいいのだろうか?面白かったのは、SPレコードが奏でているようなヴァイオリンの演奏のバックに広がる最新ステレオが奏でているようなスケールの大きなオーケストラの演奏。このアンバランス?が絶妙の効果を醸し出していた。アンコールでは、バッハのヴァイオリンソナタ イ短調からアンダンテを演奏してくれた。

後半は、R.シュトラウス・プログラム。2週間ほど前にウィーン・フィルによる「英雄の生涯」を聴いた後だけに、他のオケでR.シュトラウスを聴くのは気が進まないところもあった。しかし、シュテファンの欲張らない指揮ぶりとオケの好演奏もあって、なかなか充実したR.シュトラウスを聴くことができた。

「死と変容」は非常に難しい曲だと思うが、大フィルにしては珍しく丁寧に、かつバランス良く演奏できていた。打楽器が少しばかり出る感じはあったが、ホルンも大きく外すことなく朗々と歌っていたあたりは調子が良かったのかも。「サロメ」では曲の持つ艶めかしさが、もう少し欲しい感じだったが、ヴィオラのソロも良く目立っていたし、鬼気迫るシュテファンの演出もあり、かなり聴き応えのある演奏となっていた。弦楽器があれほど真剣になっていたのは初めて見た感じがする。

先日のウィーン・フィル以来、R.シュトラウスはウィーン・フィル以外では真の演奏は望めないと思っていたが、大フィルもなかなかの演奏を披露してくれたと思う(いつもとは違ってど真ん中の席で聞いたことも影響あるかも)。シュテファンもトーマスに引けを取らないほど柔軟にオケをドライヴしていたのは「さすが」といったところ。しかし、ザンデルリンク一家は侮れない。

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