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2005年9月2日 大阪フィルハーモニー交響楽団
青少年のためのコンサート(ザ・シンフォニーホール)

演奏曲目および評価

バーンスタイン  ミュージカル「キャンディード」序曲
サン=サーンス  歌劇「サムソンとデリラ」よりバッカナール
ラヴェル  ボレロ
マスカーニ  歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲
レスピーギ  交響詩「ローマの松」





演奏者(指揮者・ソリスト)

司会: 濱中 博久
指揮: 大植 英次

感想・短評

ご存知のようにバイロイト音楽祭で日本人として初めて指揮台に立った大植さん。帰国直後の演奏会ということもあり、会場は満席。補助席まで出されるフィーバーぶりだ。テレビカメラも6台以上設置されていたので放映があるのだろう。

大植さんが登場して、指揮台に立った時、会場のバルコニー部分から「バイロイトおめでとう!」の声があがった(さくらかな?)。大植さんは「ありがとうございます」と律儀にも答えていた。さて、オープニングのキャンディード序曲は意外にも控えめ。きれいにはまとまっていたが、もっと華麗な演奏を期待していただけにちょっと残念かな?

NHK大阪放送局の司会者が出てきて、大植さんとトークを交えながら進めていく形式のようだ。今回のコンサートは、大阪市の主催による「青少年のためのコンサート」ということで、中高生を対象とした演奏会になっている(会場に来ていた大阪市長にしきりに賛辞を送っていた大植さん。地域密着、音楽振興への配慮など、抜かりないです)。テーマは「情熱」ということでまとめたらしく、派手な曲目が並ぶ。どの演奏も意外にも控えめ(クール)に感じたのは気のせいかな?

バッカナールの演奏後にパーカッション奏者が舞台手前に出てきて体験コーナーが始まった。会場も含めてボディパーカッションに挑戦するというのだ。一種のSTOMPのようなもの。聴衆を2グループに分けてリズムを刻む。シンフォニーホールで全員が立って体を動かすなんて初めての体験だったのでとても面白かったが、ティンパニ奏者の中谷さんがかなり弾けていたのがもっと面白かった(笑)。

そのあとはボレロの演奏。大騒ぎした後だからだろうか? 小さすぎるほどの微弱音から始まる。ソロを前面に押し出した演奏だったので、各楽器を学習するにはとても良い演奏だったのではないだろうか? ただし、最後まで安定した一定のテンポで進んだため、ちょっと地味目の演奏に感じた。

後半は楽しい質問コーナーが設けられた。大植さんや演奏者に小中高生が質問するという企画。「どうして指揮者になったのですか?」「音楽をやっていて良かったと思うときはどんな時ですか?」「何歳から音楽を始めましたか?」など次々と質問が飛ぶ。決して話し上手とは思えない大植さんですが、おどけながら愉快に答えていたのが良かった。会場が笑いの渦に包まれたのもシンフォニーホールでは異例のことだろう。

マスカーニの歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲は、オルガン付きの珍しい演奏だった。そして最後の演奏は「ローマの松」。今年は結構当たり年だ(6月の京響8月のPMFでも聴いている)。テンポを少し遅めにとっており、堂々としたスケール感があった。PMFの時のような細部の上手さや華やかさはなかったものの、終盤に向けてどんどんスケールを増していく演奏には鳥肌が立ったくらい。久々にドラがヤケクソにぶっ放したのには懐かしささえ感じた。ちなみに、第3楽章の小鳥のさえずりは舞台袖での水笛だった。また、第4楽章では2階席後方に別動隊を置き、立体音響を作っていた(1階後方だったので見えなかった)。

 アンコールは、バーンスタインのミュージカル「トースト」より

来週末は定期演奏会でマーラーの交響曲第3番を演奏する大植さん。チケットが取れていないので残念ながら行けないが、ますます人気が出て、大阪を代表する「顔」となりそうだ。

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