大フィル初の野外コンサート。もちろん私も初の野外ということで楽しみにしていた。気になるのは天気だけだ(夜は雨の予報だった)。会場は大阪らしく、大阪城西の丸庭園というロケーション。第23回全国都市緑化大阪フェア「花・彩・祭」が行われているので、新緑に加えて色とりどりの花でとてもきれいな大阪城。少し早めに会場入りして、のんびりと花でも見ようと思っていた。。。
ところが、会場に入るやいなや、ホルスト「惑星」が演奏されているではないか! 急いでステージ方面に足を運んだ。すでに300人以上はいたであろうか? リハーサルとは言え、ほぼ本番と同じように全曲を演奏していた。早速シートを敷いて場所を確保。野外の演奏会なので音響面は良くないのは承知の上だ。スピーカーからの音が9割5分、生の音が5分といった感じで聞こえてくる。「1812年」や「ローマの松」では後方にバンダのファンファーレ隊を2カ所に配置するなど、ステレオ的な演出もしていた。また、今回の模様はテレビでも放映されるらしく、多くのテレビカメラに加えて、クレーンを使ったカメラも準備されていた。放送も要チェックだ。ところで、リハーサルでは大植さんは白シャツのままで指揮していた。アンコール曲も含めてリハーサルは17時ごろ終了。「1時間半後にまた戻ってきマース」と大植さん。
本番が始まるまでの間に、ウロウロしていたところ、コンマスの長原さんがステージ近くにいたので、少し話を聞いてみた。野外での演奏は難しいのではないかと聞いてみたところ、音響的なことだけではなく「弦楽器は野外用に借りているものなので弾きにくいんです。安物だから音も良くないですし」と。「おまけにバンダでは音の時間差ができて難しい」とのこと、ホールよりは遠くに配置している上に反響がないので難しいのだろう。本番前に裏話を聞けて参考になりました。
さて、いよいよ薄暗くなってきたところで18時半に開演。すでに会場は見渡す限りの大群衆になっていた。先述のように音響的には劣悪なので細かなことは省略するが、演奏自体秀逸だったのは「木星」。テンポを自在に操り表情豊かな演奏でした。ホールじゃないのが残念! でも今年後半の定演で取り上げる予定になっているので早速楽しみになった。
演奏会は曲が進むにつれてどんどんヒートアップしていった。特に大植さんの絶好調な語りが会場を爆笑の渦に巻き込んでいた。「花のワルツ」では桜吹雪をまき散らしたり、「スター・ウォーズのテーマ」では、梅田で買ってきたという電光式のライトセイバーを振り回したり、指揮だけではなく盛り上げにも全力で応えていた。
そんな中ハプニングも起こった。「1812年」では曲の後半のクライマックスにスピーカーが一斉に落ちたのだ。大砲の大音響(シンセサイザーによる合成音)を通した後だったので、それが原因だったのかな? リハーサルでは大砲音を出していなかったので、PAを含め、もう少し事前テストが必要だったのかも。しかし、そのおかげで、野外にて生オケの音を聞くことができたので良かった。「1812年」の最後ではスピーカーも不安定ながらも復活したが、次の曲までの間、話を引っ張るように大植さんに指示が飛んでいた。「私は漫才師ではないから延ばせって言われてもねぇ。吉本の人はいませんか?」などとさらに笑いを取っていた。スピーカーも復活し、最後の「ローマの松」で会場のボルテージは最高潮になった。クラシックコンサートでここまでの盛り上がりは初めてだ。
アンコールは2曲。
オッフェンバック 喜歌劇「天国と地獄」より〜カンカン
外山雄三 「管弦楽のためのラプソディ」より〜八木節
大植さんも絶好調で「天国と地獄」では指揮台上でカンカンを踊り出すし、「八木節」では法被を着て指揮するなど、会場も演奏者も一体になった熱い演奏会になった。
これほどまでに盛り上がった野外コンサート。最終的には9300人もの観客であふれかえっていたらしく、大植さん人気がどれほど凄いか思い知らされた感じ。今年だけといわず、毎年恒例の行事になってもらいたいと願うイベントでした。
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