大フィルの定期演奏会も今回で400回を数える。その記念すべき日に大野和士が大フィルを振るというのだから聴く価値は高い。多彩な曲がプログラムされているので興味深い演奏会だ。
初めのモーツァルトは「?」ってな感じだった。大フィルの重いモーツァルトはあまり好きではない。もっと軽やかで跳ねるような演奏が聴きたかった。眠さも手伝って印象に残ってない。。。
2曲目は大きく様変わりした大熱演。まず、打楽器協奏曲というタイトルからして期待が大きい。打楽器といえば、林英哲さんや、時勝矢一路さんの和太鼓演奏で度肝を抜かれたことがある。今回もそれに勝るとも劣らない衝撃を受けるものだった。まず、通常の編成のオケに加えて、2階バルコニーと2階後方席に計3名の金管隊を配置し、10種類以上ものおびただしい数の打楽器が指揮者の左に配置されていた。風鈴など「打楽器?」と思うようなものもあり、視覚的にもユニーク。曲は「旅人」というタイトルが付けられてはいたものの、キモ試しでもしているような不気味な雰囲気の漂う曲。そんな「現代曲らしい」曲にもかかわらず、スッと受け入れやすかったのも、打楽器演奏の凄さのためだと思う。特に圧巻はカデンツァ部分。ムチャクチャ叩いているように見えるが、とても緻密で狂いがない。緊張感がほとばしっていて、聴衆も身を乗り出して聴き入っていた。最後、中村さんが、お遍路さんのように鈴を鳴らしながらホール後方から出て行って曲は閉じる。現代曲でこんなに大喝采を受けるんだから、もっといろんな曲をやってもらいたいものだ。しかし、大野さんの譜面台にのっていた楽譜が、モーツァルトの時はミニスコアだったのに、2曲目では譜面台にのらないほど巨大なものだったから笑えた。
最後は、演奏機会があまり多くないショスタコーヴィチの15番。好きな曲だけど、あまりはっきりと覚えている曲ではないので新鮮な感じで聴くことが出来た。それにしてもスピード感にあふれ、痛快な演奏を繰り広げた第1楽章。非常にデュナーミクが強く、ショスタコーヴィチの交響曲の総決算という感じがヒシヒシと感じられた。第2楽章以降はテンポも中庸で大きなうねりがなかったが、とてもまとまり感のある聴き応えのある演奏でした。ちょっと記憶が飛びがちで、細かなところは覚えてませんが(汗)。最後、指揮棒を下げ終わるまで沈黙が続いていたのも、演奏が素晴らしかったからに他ならないのでは。
大野さんは大フィル初とのことだが、というか関西ではあまり馴染みがないので、もっといろんな演奏を聴いてみたくなった。現代の日本を代表する指揮者の一人ですからね。
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