さすがに大植人気! 土曜の京都ではあるもののほぼ満員の聴衆で埋まったホール。プログラム的にはベタなモノだが、「大植英次&清水和音」とくれば、誰もが何かを期待してしまう組み合わせだ。大フィルを京都コンサートホールで聴くのは初めて(厳密には昨年、大フィルポップスを聴いている)。
オープニングはモーツァルト。このホールで聴く京響のモーツァルトとは異なり、まず弦の分厚さに驚いた。実に骨格の太いモーツァルトだった。例えて言うなら、大フィルはベルリン・フィルのように男性的で、京響はウィーン・フィルのように女性的(飛躍しすぎ?)。まぁ同じ大フィルでも、シンフォニーホールで聴くのとはまたひと味違う感じがしたのも面白かったところ。
さて、期待のラフマニノフも冒頭から地響きするほどの重量級の演奏だった。ゆっくり目のテンポも威厳を拡大させていた要因の一つか。清水さんは前に聴いたときのように非常に男性的な弾きっぷりで、オケとはほとんど対等に張り合っていた。第2楽章のピアノソロ、それに続くヴァイオリンの旋律は涙が出るほど美しかった。第3楽章ではヴィオラが素晴らしい働きをするなど、各楽器それぞれいつも以上に充実していた感がある。ただ、クラリネットの音色がやけに明るかったのだけは好みではなかった。立派な演奏だったのは間違いないが、大植ファンか清水ファンによる怒号のようなブラボーの嵐には正直退いてしまった。
ここで清水さんから1曲アンコールのプレゼント。
スクリャービン プレリュードop.11-13
最後はチャイコフスキー4番。またか・・・という感じが強い。それもそのはず、今年はすでに2度の名演を聴いてしまっている(ジャパン・ヴィルトゥオーゾ・シンフォニー、京都市交響楽団)。よほどの演奏を聴かないとビックリしないのだ。大植マジックを期待したが、ごくオーソドックスなチャイコフスキーだった。耳に残ったと言えば、第2楽章だろうか。最後10秒を超えようかと言うほどの静寂は凄かった。大植さんの渾身の指揮ぶりを見ているだけで満足な演奏だったかな。。。
最後に大植さんからも1曲アンコールのプレゼント。
ビゼー 「アルルの女」第2組曲より「ファランドール」
今日は、オケもうまかったし、ピアノもうまかった。だが、ホールとの相性には少し疑問が残ったかな? いつも京響で聴いているときは非常に鮮明に輪郭をなぞることが出来るのだが、大フィルの場合はどうも輪郭がぼやけてしまう。これがホームとビジターというモノの違いなのだろうか? オケもホールも十人十色。今度はシンフォニーホールで京響を聴いてみたい。
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