梅雨時期とはいえど、大雨の中の公演。天気による客足はあまり関係ないと思うが、比較的よく入っていた。マイナー曲だが、珍しさ期待は大きいのだろう。今日はいつもとは違いA席での鑑賞だったので視界が開けて実に快適だった。やっぱり高額の席は身体には楽です(笑)。
前半は実にキメ細やかで平和なひとときだった。モーツァルトは最良の演奏と言っても差し支えないほどの充実感だった。大フィルでモーツァルトとなるとこんなに重量感のある大管弦楽になるんですね。第2楽章はたっぷりと歌ってくれたのが良かった。その反面、第3楽章はテンポが速くメリハリを付けていたのが退屈せずに楽しめた。
ディーリアスは聴いたことない曲だったのだが、この作曲家らしく非常に清々しく心落ち着かせる自然美を醸し出してくれた。今日は雨が強く降っていてズボンもビチャビチャだったが、そんなことを忘れさせるような爽やかさだった。第2曲のチェロは聴かせてくれました。静かに奏でるコントラバスも効果大きかったと思う。
さて、後半は一転して、超大規模な合唱付きの管弦楽「ベルシャザールの饗宴」。滅多に演奏される曲ではないので、入念に予習していきました(笑)。滅多に演奏されない理由はいくつかある。1つは、作曲者のウォルトンの知名度があまり高くないこと。1つは、ウォルトンを得意とする指揮者が少ないこと。そして最大の理由は、曲の長さの割に多くの演奏者が必要なこと。今日の舞台上では、120人ほどの合唱に加えて、パイプオルガンと、その両側にそれぞれ7名(トランペット3、トロンボーン3、チューバ1)の金管別動隊を伴っていた。さらにオーケストラの中には数多くの打楽器も並んでいた。この大編成を見事にドライブしたのは秋山さん。さすが、規模の大きい曲を得意とするだけに、なかなか手慣れてました。
オケもこのところの大フィルとはひと味もふた味も違ったが、金管の別動隊はちょっといただけなかったかな? あまりまともな音は聞かれなかった。それはさておき、今回の驚くべきは合唱の完成度の高さだろう。秋山さんが昨年に九響で同曲をやっているからというのもあろうが、非常によく縦が揃っていてキレが良く劇性を強く感じた。「バビロンは偉大な都市だった」の終結部は場面がリアルで鳥肌が立つほどだった。また、バリトン独唱も見逃せなかった。ここまでホール中に響き渡る歌声は久々に聴いた。単に朗読っぽくなるのではなく、導入部はかなりドキドキさせるほどの高揚感があった。
金管の出来など細かなところではいろんな意見はあろうが、この珍しい大曲を聴けたということの方が遥かに上回った。最後、変なところでフライング拍手もあったが、総じて会場は大いに盛り上がった。やっぱり生の演奏会に来る醍醐味はこれですね。
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