舞台セット |
ジョン・オズボーン |
ルクサンドラ・ドノーゼ |
小澤 征爾 |
恒例の小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクト。今回で6度目だが、私が見るのは3回目。いつもながらチケット争奪戦だったのでもちろん開場は満席(空いている席もいくつかあったが・・・)。最安席から見たので視界こそ悪いが、舞台の斜め上に当たるため、オケや歌が良く聞こえる悪くない位置だ。
今回はコーチ陣の参加が少ないように思えた。さらに演奏者も半分近くが中国の演奏家だった。合唱も全て中国人。もちろん、どこの国籍であろうが、若手奏者であろうが、小澤さんの手ほどきをされているだけあって、とても安定感があった。序曲は有名なメロディだけに多少粗い部分は目立って聞こえたが、弦楽器はバツグンに美しい。技術的にもプロ顔負けに高いことが良くわかった。本編に入ると舞台上に集中してしまうのだが、オケも存在感を十二分に発揮していたので、両者譲らぬ好演だったと思う。
さて、舞台は医者バルトロ邸。家全体が開閉式になっていて、かなりしっかりした作りのセットだった。フィガロの最初のアリア「私は町の何でも屋」が秀逸。伯爵の歌が少しか細い印象を受けていたため、フィガロの歌の迫力は凄まじかった。歌手は皆一流のため文句の付けようがないのだが、演出も一流。大きな笑いが起きたのは、バルトロが便箋を数えるシーン。「1・2・3・4・5」と日本語で数えていた。こういう細かなユーモアは各所にちりばめられており、退屈することなくストーリーを楽しめた。ロジーナも負けじと難しいアリアを歌って喝采を受けていた。先週のコロラトゥーラソプラノと比較してしまうのは筋違いだが、あまりにも上手かった。第1幕の終わりはドンちゃん騒ぎでスゴイ迫力のシーン。舞台上での暴れようもバランスよく、広がり感があった。こういった演出の上手さもあり、第1幕だけで満足しました(笑)。
第2幕も舞台装置(シーン)は変わらず。言うまでもなくドタバタ劇は最後まで続き、楽しいシーンの連続。名演奏に名演技、そして名演出。全てが融合しないと心底楽しめなかったことだろう。第1幕では少し迫力に不満があった伯爵だが、クライマックスになるにつれて声量十分になり、不満は解消しました。出てくる役すべてが主役級の働きをした今回の演技。これが一流なんだろうなぁ。安物オペラに行くと必ず「だれや?あれ?」「何の意味があったんやろか?」と思うシーンが多いのだが。。。
終演後は楽屋口で恒例のサイン集め。今回も小澤さんや演出家を始め、キャスト全員にサインをもらった。コーチ陣として参加していたオーボエの宮本さんもいたのでサインをもらった。宮本さんは現役引退の発表をサイトウ・キネンのときに行なっていたので「本当にやめちゃう」のか聞いてみたが、2年くらいは参加するとおっしゃっていた。2年と言わず、長らく続けてもらいたいものだ。
来年の小澤征爾音楽塾オペラプロジェクトはオペラではなくオーケストラ曲になるらしい(マーラーの交響曲第2番「復活」)。チケット買えるかなぁ。。。不安はそれだけ。
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