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 大音楽惑星 ホーム > コンサート報告 > 2013年 > サイトウ・キネン・フェスティバル松本 「こどもと魔法」「スペインの時」
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コンサート名・公演名

2013年8月31日 サイトウ・キネン・フェスティバル松本
(まつもと市民芸術館・主ホール)

演奏曲目および評価

ラヴェル/歌劇「こどもと魔法」「スペインの時」〈グラインドボーン音楽祭との共同制作〉

演奏者(指揮者・ソリスト)

「こどもと魔法」

こども:イザベル・レナード
肘掛椅子、木:ポール・ガイ
母親、中国茶碗、とんぼ:イヴォンヌ・ネフ
火、お姫様、うぐいす:アナ・クリスティ
雌猫、りす:マリー・ルノルマン
大時計、雄猫:エリオット・マドア
小さな老人、雨蛙、ティーポット:ジャン=ポール・フーシェクール
安楽椅子、こうもり:藤谷佳奈枝
合唱:SKF松本合唱団、SKF松本児童合唱団

「スペインの時」

コンセプシオン(時計屋の女房):イザベル・レナード
ラミロ(ロバ引き):エリオット・マドア
トルケマダ(時計屋):ジャン=ポール・フーシェクール
ゴンザルヴ(詩人気取りの学生):デイビット・ポーティロ
ドン・イニーゴ・ゴメス(銀行家):ポール・ガイ

演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ
指揮:小澤征爾(「こどもと魔法」)、ステファヌ・ドゥネーヴ(「スペインの時」)
演出:ロラン・ペリー

感想・短評

2年ぶりのサイトウ・キネンです。一昨年は小澤さんの登壇が危ぶまれていて、開演まで状況が分からなかったものの、奇跡的に指揮姿を拝めた経緯がある。その後、体調を崩したために昨年のサイトウ・キネンも指揮を断念し、このところ指揮台に上がることはなかった。今年になって状態が良くなりボチボチ演奏会も行われていたが、ついにサイトウ・キネンでも復活です。といっても短いオペラを1本ということなので、全快というわけではないが、小澤さんがそこにいるということは大いに意味を持つものである。

さて、今回は最安席を買えなかったので、1つランクが上のB席を購入。4階席最前列ということなので悪くはないのだが、2列目以降は最安席C席になるので、たった1列の差で8,000円も違うというのはなかなかに複雑な感がある。おまけに最前列と言っても、目の前の柵が邪魔で視界は悪いといってもおかしくない。後ろの人には悪いが、少し前のめりで鑑賞することになった(腰が痛くなるので避けたい体制なのだが)。

最初の「こどもと魔法」で小澤さんの登場。やはり存在感ありますね。ただ、冒頭からオーボエの不安定な音楽がただよう。そのあともどこかノリが悪く、時折アンサンブルの乱れるところも聴かれた。やはり本調子にはなってないようだ。このオペラは2度ほど舞台を見たことがあるが、今回の舞台はなかなか面白い演出だった。舞台装置というのはほとんどないといっても差支えがない。なぜなら登場するキャラクターはほとんどモノや動物といったセットに近いものだからだ。舞台上のありとあらゆるものがここまで動くオペラはなかなかない。お気に入りはティーカップとティーポットだ。こんなお笑いの着ぐるみみたいなオペラは他では見られないだろう(笑)。壁紙もユニークな演出で面白かった。最後、こどもがリスの傷の手当てをするシーンは全くの無音状態が2分くらい続いた。オペラでのこの無音は史上最長ではないだろうか?オペラ自体があまり盛り上がらずに終わるので、余計に間延び感があった。

後半はドゥネーヴの指揮で「スペインの時」。こちらは奥行きこそないがしっかりと固定されたセットでコメディっぽい舞台。本当に演出が面白かった。大時計の中に人が入った後に持ち上げるシーンなんかはマジックでも見ているようにハラハラ感があった。音楽の方もドゥネーヴのキレのある指揮でラヴェルらしい小気味良さが炸裂していた。オケも前半とは違って随分乗ってましたね。いやー、完成度はかなり高かったのではないだろうか?DVDが出たらもう一度見直したい舞台でした。

終演後は恒例の楽屋口へ。小澤ファンが待ち構えてはいましたが、それでも20人ほど。いつもながらに少ないです。団員を見送りに小澤さんが一旦出てきましたが、ガードが固くて近寄れない状態。そのあと1時間くらい待っていたのですが、すでに別の出口から帰られたと。。。みんな小澤さん目当てなのは分かっているはずなので、係員も気を利かせて欲しいものだ。結局1時間半くらい待って小澤さんのサインこそはもらえなかったが、指揮者の大野さんや、今日の出演者などにサインをもらうことができて、それなりに満足でした。ただ、待っている間に外は土砂降り状態に。帰りが大変でした。。。

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