西宮のホールは客席の埋まり方がいろいろある。PACの定期などは人気もあり価格も安いのでほとんど満席状態。海外のオケなどは余程のビッグネームでなければ満席になることはない。座席の価格設定に微妙なところがあるからだろう。今日の公演もまとまったブロックで空席が目立った。S席でも条件が異なっている座席が多いからだろう。主催者側としても安くするわけにもいかないだろうから、悩ましいとは思うが何とかしてほしいものだ。空席は気になるものの、今日は人気のオーケストラだし、ボリュームのあるプログラムだから話題性は十分だ。
最初の「シェエラザード」はあまり好きな曲ではない。同じ旋律が繰り返されることもあり眠くなるからだ。しかし、今日の演奏は非常に楽しく聴くことができた。このオケも随分インターナショナル化されてしまったと思っていたけれど、ロシア的な色もところどころ聞き取れて面白かった。フェドセーエフの指揮は大きな流れの中に、大きな起伏を織り交ぜて飽きさせない音楽の作り方だった。奇数楽章の朗々とした流れ、偶数楽章のスピード感のある流れは明確でツボはしっかりと押さえていたと思う。
後半は弦楽器だけなのに大編成へ衣替え。弦楽セレナードはやりすぎだろと思うほどの人員投入で、PACオケも入ってほぼ倍の弦楽器による重厚な響きとなった。多すぎてテンポも遅くなりがちではあったが旋律の美しさを楽しむには良かったのではないだろうか?特に第3楽章の美しさには息を飲みました。音の洪水にはうんざりもしましたが、アンサンブルの妙を堪能できたので良かったです。
最後もさらに大編成の「1812年」。舞台後方に13人のコントラバス、18人の金管楽器がそれぞれ横一列に並んでいる様はそれだけで圧巻の眺めだった。演奏は破綻することなく、心地のいいテンポで炸裂してました。もうちょっと無茶しても良かったのでないかなと思いました。打楽器は多少やりすぎてましたけど(笑)。
熱狂の中、アンコールが2曲追加された。
スヴィリードフ/「吹雪」より ワルツ・エコー
チャイコフスキー/「白鳥の湖」より スペインの踊り
フェドセーエフは今回の公演が80歳記念ということだった。とてもそのような高齢には思えないしっかりした指揮姿だったのが印象に残った。
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