今日は豪華な面々による演奏会であることを忘れていた。ソプラノのリンドに、ヴァイオリンの神谷さん、そして何といっても主にウィーン・フィルのメンバーから構成されるトヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーン。
オープニングは今回のツアーのテーマ曲「イントラーダ」。奏者は全員立ったままで始まった。モーツァルト調の古典的なメロディの短い前奏曲だったが、あまり練習はしていなかったのだろう。かなりばらつきのある演奏。しかし、やはり音色はウィーン・フィルだけあって格段に輝きが違う。
気を取り直して、ロッシーニ。指揮者を置かない演奏体系であるために単調になる嫌いはあったが、演奏は手慣れているだけに実にスムーズ。自然なデュナーミクなどはそうそう出せるものではない。弦楽器の例えようもないほどの輝きと美しさ。さらに「これが木管の音だったのか」と考えさせられるほど木管の豊かな表現。ソプラノが入るオペラアリアでは、すでに会場はウィーン国立歌劇場。素晴らしい歌唱力に引き込まれた。古典オペラ歌いとしてかなりはまっており、その実力の高さを誇示してくれた。会場全体に響き渡る優雅な歌声でした。
モーツァルトではオケ、ソプラノの実力が全開。「これがウィーンの音楽だ」と言わんばかりの表現力と説得性。もう言うことはありません。ヴァイオリン協奏曲での神谷さんはモーツァルトと言うにはちょっと芯が太すぎたが、ウィーンの奏者に負けないほどの演奏をやってのけた。まだまだ日本には素晴らしいヴァイオリニストがいるもんだ。
最後は名古屋フィルを加えての大所帯による「英雄の生涯」。指揮は炎のコバケン。ウィーン・フィル団員も名古屋フィルも全力を出しきった力強い演奏だった。「やり過ぎ?」と思うほどの全身全霊で弾く姿に45分もの時間があっという間に過ぎてしまった。名古屋フィルは実力も高いだけでなく、さらにウィーン・フィルが加わっているために大きな刺激を受けていたことに間違いはない。近年聴くことができないほど「マジ」なR.シュトラウスが聴けて本当に幸せだった。
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