毎年恒例になっている「900円コンサート」シリーズ。いつも大物の演奏が聴けるとあって結構人気のプログラムなのだ。自由席なので開場時間前から長蛇の列。今年は30分前に行ったので良い席で聞くことができた。今回は3人の珍しい組み合わせによる曲が並ぶ。あまり知らない曲ばかりなので睡魔との戦いも重要な要素だ(笑)。
ヴァイオリンの渡辺さんについては何も言う必要はないだろう。日本を代表するヴァイオリニストの一人であり、世界の第一線で活躍している実力派だ。渡辺さんの演奏を聴くのは今回で3回目。ソロ・室内楽は初めてなので、改めてヴァイオリンの力強さと表情の豊かさを思い知ることができた。実力が高い上に、何と言っても楽器が素晴らしい。パンフレットによると1700年のストラディヴァリウス「Dragonetti」というものらしい。
バッハの「シャコンヌ」は昨年の出演者だった堀米ゆず子さんの素晴らしい演奏を聴いているが、それを上回る演奏。まさに息を呑む演奏とはこういうものなのだろう。「シャコンヌ」だけだったのが残念なところ。やはり全曲を聴きたかった。パガニーニでもあらゆる実力を披露。1本の弦でさまざまな表情を出していたのは圧巻。
ギターの鈴木氏はNHK-FMのパーソナリティもしているのでおなじみ。武満徹氏が「今までに聴いたことがないようなギタリスト」と絶賛したという実力派だ。今回の演奏会では実力をフルに発揮する曲が少なかったように思うのでちょっと残念。それでもピアソラはさすがの演奏を聴かせてくれた。ただ、あまりギターの演奏を聴かないので「うまい」以上のことは良く分からない。。。
フルートは昨年の小澤征爾音楽塾の塾生であり、フルート奏者の工藤重典氏の特別推薦を受けているという若手だ。まだまだ場慣れしていないのもあるのか、積極性に欠ける感がした。それでも、素直でエレガントな美しい音色を奏でていたので、今後は楽しみかも知れない。
今回も世界初演の委嘱作品があり、やっぱり良く理解できなかった。昨年も眉間にしわを寄せて聴いたが、今年もさらに眉間のしわが深くなった。。。コンセプトが難しいので容易に理解できないのだ。アンコールではシルヴェストリの曲が演奏された。いつもながら900円でここまで楽しめる演奏会が増えてくればいいのになと思う。さすがにオーケストラだと採算が取れないのだが。。。
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