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2009年9月19日 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ウィーン・フィルハーモニー ウィーク イン ジャパン 2009(ミューザ川崎シンフォーニーホール)

演奏曲目および評価

R.シュトラウス/交響詩「ドン・キホーテ」Op.35
R.シュトラウス/交響詩「英雄の生涯」Op.40


演奏者(指揮者・ソリスト)

チェロ:タマシュ・ヴァルガ
ヴィオラ:クリスティアン・フローン
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ズービン・メータ

感想・短評

3年前のアーノンクールの指揮以来。今年も関西での公演はあるのだが、曲目的に大好きなR.シュトラウス三昧は東京と川崎しかなかったので、わざわざ川崎に出向くことになった。やっぱR.シュトラウスといえばウィーン・フィルっしょ。

初めてのミューザ川崎シンフォニーホールは想像よりも立派な施設だった。それよりか、川崎といえば、関西の尼崎のように工業都市を思い浮かべていたのだが、川崎駅前はおしゃれに再開発されていて、ホールやショッピングセンターが直結していた。ホールの立地としては最高の部類だろう。ホール内もビックリ。ワインヤード形式とは聞いていたが、本当にフロア感覚が分からなくなる。ステージ側から客席を見ると、互い違いな客席で水平な要素がないために不思議な感覚に陥る。あらゆる座席を訪れてみたが、右サイドの中間層はかぶりが大きいものの、どこもとても見やすい。といっても、自分の席は最安席なので、3階の一番端の方であまり良い席ではなかったけど。。。

さて、「ドン・キホーテ」が開始してやはり瞬殺されました。冒頭の木管と弦楽器の優しい響きは、高級シルクのようで濃密かつ滑らかさがある。こういう響きはまさにウィーン・フィルならではのもので、来て良かったと感じる瞬間です。特に第3変奏の中間部以降のウィーン・フィルらしい高雅な響きには完全に参りました。ホールに来るまでに温泉で骨の髄まで温まったのに鳥肌がゾクゾクでした(笑)。ただし、良いところばっかりだった訳ではない。このオケは年代物のワインのように波長が合えばとてつもない演奏となるが、合わなければ、ただのクセのあるオケに感じてします。今日はちょっと合ってなかったかな? ところどころ縦の線がそろってませんでした。座った席がホルンの真後ろだったこともあり、金管が耳についたため、少し荒々しい金管には違和感もあった。

この曲では1つ注目点があった。それはコンミスとして、ダナイローヴァという非常に若い女性がトップに座っていたからだ。少年にも見える彼女ははつらつとして、伝統の楽団を引っ張っていました。ウィーン・フィル新時代の到来ですね。全体でもまだ女性は3名ほどしか見られなかったので、これから増えていくのでしょうか?

後半の「英雄の生涯」も、“ウィーン・フィル”というフィルターを外して先入観なく聴いてみると、金管は少し荒っぽいという印象を受けた。それでいてウマいんだから文句はないのだが。。。実はウィーン・フィルで同曲を聴くのは2回目。前回はティーレマンで超快速の演奏を聴いている。今日の演奏はそれほど速くはなかったが、印象としては速めで突っ切った感じだった。メータの指揮は初めて生で聴くが、特に大きな特徴はない。ただ、巨匠というだけあって風格というか、余裕が感じられるのがスゴいところ。それほど分かりにくい棒ではなかったが、やはりズレるところが気になった。金管の荒さをよそに、弦楽器はこれでもかという芳醇な響きを振りまく。冒頭の重低音は誰もが魅了されたに違いない。この曲の聴きどころはヴァイオリン・ソロでもある。コンマスのフォルクハルト・シュトイデは勇みすぎなところもあったが、やはり雄弁でウマい。文句を言ってばかりの金管だが、ホルンの上手さは格別だった。これがウィンナーホルンというヤツか。恐るべし。「英雄の戦場」冒頭の金管のバンダも素晴らしかった。壁の向こうでもつややかな金管が聞こえるんだから。フィナーレはかなりテンポを落として荘厳なまでに美しく曲を閉じた。しばらくの沈黙の後、会場は割れんばかりの拍手に包まれた。

アンコールは最もウィーン・フィルを感じることができた秀演だった。J.シュトラウス2世/ワルツ「レモンの花が咲く頃」。J.シュトラウスってウィーン・フィルじゃないと演奏しちゃいけないっていうような雰囲気を感じました(汗)。

終演後は団員にサインをもらえなかったが、ご機嫌なマエストロにはサインをもらえた(ちょっと奇跡)。こういう一流の演奏を聴いてこそ、いろんな演奏の善し悪しが分かるなぁと感じた夜でした。

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