2008年4月25日　第9回 現代日本オーケストラ名曲の夕べ
（京都コンサートホール）

芥川也寸志／響 〜オルガンとオーケストラのための
伊東乾／天蓋の碑
石井眞木／交響詩「祇王」（陰影の譜）〜横笛とオーケストラのための
井上道義／メモリー・コンクリート

−
○
○
○

管弦楽：オールジャパン・シンフォニーオーケストラ 〜京都市交響楽団を中心に、全国のプロ・オーケストラメンバーで編成〜
横笛：赤尾三千子
指揮：井上道義

また遅刻した。ほんと、最近多すぎる。ホールに入ったときにはすでに2曲目が始まっていた。1曲目の芥川也寸志を聴きたかっただけにショック・・・

すでに2曲目が始まっていたので扉のところで係員に入場を止められたのだが、「ただいまチューニングのようなのでどうぞ」と案内された。しかし実際は演奏中だった！　さすが現代曲は演奏だかチューニングだかの区別がつかないこともあるようです（笑）。さて、演奏の方は解説を読むヒマがなかったので、「天蓋の碑」はストーリーがよく分からなかったけど、聞き応えのあるバランスの取れた曲だった。特に輝かしい旋律の第2曲は美しさあり、鋭さありの充実したものだった。現代曲とは感じにくい聞きやすさだったかな？

石井眞木の交響詩「祇王」は横笛の赤尾さんが最大の注目だったことは間違いない。雅楽的なことはよく分からないが、3本の笛を使い分けて演奏していた。確かに音色が違うのでいろいろ意味があるのだろう。それよりも驚いたのは、歌もついていたこと。もちろん歌手はいない。歌うのは横笛奏者の赤尾さんだ！　楽器奏者に歌を歌わせるという暴挙を強いる曲ではあるが、赤尾さんは声量は少ないにしても、なかなかの歌声だった。実にソリストに見所の多い曲でした。

最後はミッキーの自作自演。この曲は3番目にする予定だったらしいが、「祇王」が協奏曲的な曲のために順番を入れ替えたとのこと。理由はともかく、それは大正解だったと思います。なぜなら・・・この曲を生で聴いた（見た？）人でないと理解できないかもしれません。この曲、一言で言えば「井上道義版・英雄の生涯」といった内容。ミッキー誕生の瞬間から、幼少時代を経て、高校・大学・そして指揮者の道へ、それに私生活などなどミッキーの生い立ちが盛り込まれているという奇抜な作品。何が聴き所（見所？）かというと、「指揮者のためのカデンツァ」があるということだ。指揮者のカデンツァ？？？指揮者は演奏自体をしないので何をアドリブでやるのかと思いきや・・・これはミッキー以外では再演し得ない内容でした（笑）。ステージ上で上着を脱ぎ、スーパーマンのTシャツとなり、王冠のようなものをかぶったり、ハンチングをかぶったり、変な踊りを踊ったり（いつもだが）、花束を団員に配ったりと、全く意味不明なことを次から次へと繰り出していた。いくらミッキーとはいえ、「これはやりすぎやろ！」という奇々怪々な奇行の数々でした。これを読んでも全く想像できないと思いますので、もし再演の機会があればぜひ自分の目で確かめてみてください。

ミッキーの曲はさておき、こういった日本の現代音楽に焦点を当てた企画は素晴らしいと思う。ただ、残念なのは、さすがに観客があまり呼べないところ。今日の演奏会も6割程度？のガラガラ状態でした（思ったよりは入っていましたが）。観客もありふれた曲ばかりに飛びつくのではなく、現代音楽や日本の作曲家の曲をもっと評価して、聴くことにもチャレンジする姿勢が欲しいなと思った。

2008年コンサートカレンダーにもどる