昨年に引き続き、バーデン市立劇場オペラに足を運んだ。昨年はまずまずの演奏を披露してくれたので安心だろうと。会場は3階部分がほとんどガラガラで昨年ほど人の入りは良くなかった。今回の演目は「コシ・ファン・トゥッテ」。このオペラは、他愛もないことを長々と引っ張る話なので、演出いかんによって非常に退屈なものになりうる。そこをどのように克服できるか。
オケは室内楽程度の少人数なため迫力には欠け、うまいとは言いがたいが、丁寧な演奏で好感がもてた。ソリストの方は昨年と同じメンバーもいた。どの歌手も平均(平凡?)レベルなので、可も不可もなくといった感じ。その中で、デスピーナ役のファリーははつらつとした演技で良かった(もう少し声量があるともっと良いのだが)。それに比べ、アルフォンソ役のロスレアルは案外さらっとしていたので、もっと意地悪に、高慢に演技してもらいたかった。
昨年は随所に楽しい仕掛けがあったのだが、今回の演出では話を淡々と進めていく以外は、特にこだわりの演出が見られず、少し退屈に思った。舞台も比較的安っぽく、雰囲気が乏しかったというのもあるのかもしれない。さらに、2組のカップルが複雑に絡み合うのが楽しいオペラだが、歌手の衣装や体型などに特徴がないため、誰が誰だか分からなくなってしまったのは残念。話を知っていたから良かったものの、そうでない場合は楽しさが半減しただけでなく、意味が分からなかったかも。そんな具合に3時間の話が進んだので、演奏時間が少々長く感じたのは否めない。来年の公演ではそんなところにも気を使ってもらいたい。
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