忙しい日々がようやく一段落したところで、ご褒美のような演奏会となった。海外の放送オケなどはバブル後しばらくは多く来日していたものの、集客という意味ではあまり成功していたとはいえなかったように思う。しかし、今日はかなりの客足だった。さすが西宮と言うところだろうか?確かにしっかりしたオーケストラなんだが。
最初の「魔弾の射手」序曲からドイツらしい重厚な響きがホールを満たす。そして、やっぱり海外オケはホルンがうまいと感心する。日本ではうまいホルンがなかなか聴けないのはなぜだろうか?
しかし、もっと聴き応えがあったのはベートーヴェンだ。私がとても信頼している河村さんがピアノだから期待も大きかった。河村さんは西宮出身と言うことなので、さしずめ凱旋公演と言うとこか。冒頭から強靭なタッチでグイグイとオケを引っ張っていく河村さん。ちょっと強すぎじゃね?と思えなくもないが、「皇帝」なんだから堂々としてていいんです(笑)。本場ドイツの重厚さに、堂々たるピアノ。ここまで満足感の高い「皇帝」は初めてかもしれない。河村さんのアンコールは、「シューマン(リスト編)/献呈」でした。
後半のブラームスも同様。このところ第4番の出番が多いように感じるが、どれもいい演奏ばかりで甲乙付けがたい。今日の演奏は無駄なことをせず、質実剛健で職人的な印象が強かった。ヤノフスキは巨匠的な指揮をしますね。とても印象はいいです。逆に言うとあまり記憶には残らない演奏ともいえる。ドイツ的でうまいのだが、超一流かと言われると、そうでないところも多い。表面上は納得の演奏で満足したのだが、世界トップレベルとの比較で聴いてしまうと不満もある(そういう聴き方しちゃダメですね)。
そうはいいながらも、アンコールの「ブラームス/交響曲第3番から第3楽章」は素晴らしい演奏でした。アンコールにしては美味しすぎる選曲でしたが、哀愁に満ちた美しいメロディはこのオケの性格に非常にあっていたように思います。
満足できる演奏に、余韻の心地よいアンコール。こういう演奏会は心を豊かにしますねぇ。
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