3月に行なわれるびわ湖ホールプロデュースオペラに向けて盛り上がりを徐々に見せてきている。このプレトーク・マチネも関連イベントだ。前半は音楽評論家の白石さんによる、プッチーニの生涯と時代背景の解説だった。興味深い話もあったが、折角なのでプロジェクターなどで映像も交えればよかったのにと思った。
後半は、沼尻さんによる「ラ・ボエーム」解説と、実際の歌手陣による実演。沼尻さんは分かりやすい庶民的な例えで結構専門的な解説をしてくれるところが楽しい。指揮も素晴らしいがトークも一級品だ。歌手はカバーキャストによる演奏。カバーキャストというのは、つまり本番のバックアップメンバーのこと。主役とかにトラブルがあったときの代役人員だ。ということは、出番がないままのことも多い。歌や演技はもちろんのこと、出演者と同じ内容をマスターしないといけないため、出番がないまま公演が終わるのはもったいない!今日のような陽の目を見る場をもっと作ってあげるべきだと思うし、そういう仕組みをもっと知ってもらうべきだ。
歌の方もカバーとは名ばかりで、実に本格的な歌唱力だから素晴らしい。特に清水さんのハイCまで出せる歌手はそうそういない。ピアノの西さんの伴奏も聞き逃せなかった。リハーサルや練習でのオケ代わりのピアノ伴奏だと思うが、リサイタルをしてもおかしくないほどの実力をもっていることに驚いた。素人的にスゴイと思ってしまったのは、沼尻さんが気ままに曲解説をするものだから、「3年前のバラ(バラの騎士)でやったあのメロディ出る?」とかいって、長編オペラの1シーンを要求したにもかかわらず、当然楽譜なしで弾いたことだ。いくらプロの演奏家と言っても、そんなに弾けるものなのだろうか?こういうのは素人には理解できない領域だ。
トークに歌にピアノに、無料イベントとはいえ充実過ぎる2時間でした。
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