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ベルリン・フィル大阪公演報告

あまりにも書きたいことが多くなったため別ページで報告させてもらいます。思ったことをそのまま、ライヴの熱い思いが冷めないうちに書いていますので、ちょっと大げさになっているかもしれませんが ^^;


1998年10月15日 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(ザ・シンフォニーホール)

まずは、シューマンから。マンフレッドに関しては最初の曲ということもあり、まだBPOを探りながら聴いている状態だった。でも、つややかな弦楽器の音にはのけぞりそうになりながら聴いていた。
 ピアノのピリスにははっきり言って心配していた。というのは、シューマンのような非常に音の多い、体力のいるコンチェルトが弾けるのだろうか・・・と思っていたからです。しかし始まってみると、これは面白い!決してボリュームのあるピアノではなく(バックステージで聴いたからであろうか?)乾いて澄み切った素直な音に襲いかかるBPOの容赦のない演奏。でも、ピリスは負けていなかった。BPOに悠然と立ち向かっているのでありました。第2楽章の最初のピアノの語り方などはもう絶品で思わず震えた。第3楽章ではさらに音が増えて奮闘するピリス。流れるように繰り出される音にわくわくさえした。聞き慣れててあまり最近は好きな曲ではなかったが、このピアノコンチェルトを今日ほど楽しませてくれた日はなかった。

ドビュッシーの夜想曲は今日最高の出来か。アバド得意のフランスもの。自在にBPOを操り、大きなうねりをもってドビュッシーの世界を完璧に示していた。各ソリスト陣もここぞとばかり躍り出て、その持っている力すべてを誇示していた。フルートのパユとオーボエのマイヤーとの掛け合いも見所だった。また、女声合唱が指定のソプラノ8、アルト8よりも多く、計20人出ていたのはオケのパワーに合わせるためか。欠点を探せといわれても私には不可能な話だ。誰もがそう思ったことだろう。

最後はラヴェル。これもアバド得意の曲。しかし何という難しい曲だ、これは! それを難なくそれも最高の出来で演奏してしまうBPOはいったい何なんだ!? 艶かしく揺れ動く懐の深い弦楽器群、完璧なテクニックを持って踊りまわる木管楽器群、息ぴったりでどこまでも音が通る金管楽器群、テンポ抜群で叫び狂う打楽器群、熱くそして大地を揺るがす舞踏。これ以上の演奏を望んだら天国行くしかないです。アバドも非常に熱く燃えていて、最後の形相といったらもうとりつかれてました。

とにかくいいところを挙げていたらキリがありません。とにかく全員がソリストです。ヴァイオリンの一番後ろのプルトもはっきり聴こえるし、2ndヴァイオリンがちゃんと聴こえるのも、ヴィオラや、コントラバスがあんなに大きな音を出すのも、全員が超一流だからできること。参りました。
 今日の公演は素晴らしかったので、明日のマーラーがどのようになるか楽しみです。

(1998.10.16 AM 2:00)


(補筆)今回のピリスのピアノによるシューマンのピアノ協奏曲に対する世間の評判があまり良くないですねぇ。確かにそうかもしれないです。しかし、私は最初から過大な期待を寄せていなかった(失礼!)ので、今回の出来には大変満足しています。ピリスはシューマン向きではないと思うけれど、それがかえって新鮮な演奏に変わっていたと思っています。ピリスの新譜のシューマン・ピアノ協奏曲ではいい音を出していますよ。オケがBPOではないのが残念だけど。

(1998.10.20 AM 0:15)


1998年10月16日 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(ザ・シンフォニーホール)

アバド=BPOによるマーラーは前回(第2番)に続き2度目となる。

【第1楽章】「復活」の時と同様、3番でも出だしで圧倒される。BPOのホルンが8本も並ぶとさすがに圧巻。最初からゆったりとしたスピードで、一音一音の意味を噛みしめて始まる。続くトロンボーンによるソロは大変素晴らしく、貫禄が感じられた。今日のトロンボーンはアルント。トロンボーンをあれだけうまく吹ける人はどれぐらいいるのだろう。しかし、活躍するのは金管だけではない。木管楽器の素晴らしさも例えようがない。特にピッコロ、ソプラノクラリネットは存在を強烈にアピールして頑張りに頑張っていた。第1楽章の展開部後半のスピード感あふれる全奏でのティンパニは最高だった。ゼーガースの卓越したロールテクニック、ヴェルツェル(?)の目にも止まらぬ交差打ち。堪能させてくれました。小太鼓のバンダに続くホルン陣による斉奏は何度も出てくる主題の中でも一番勇々しくて良かった。しかし、舞台袖で小太鼓を叩き終わって、そそくさと打楽器陣地に戻るや否やすぐさまシンバルをぶっ放していたのには驚いた。

【第2楽章】ソロがおいしい楽章。言うまでもないが、またもや木管陣の大活躍。ここで聴かせていたのはコールアングレかなぁ。弦楽器のえもいわれぬ艶かしさも特筆もの。今日のコンサートマスターは安永さん。ここはソロが多くある場所だが、ちょっと響きに物足りなさを感じた。ほかの楽章が面白いだけに、案外あっさりと終わってしまった印象がある。

【第3楽章】ここもか!嬉しいぞ木管達!! クラリネットのテクニックにうっとりしながら、各木管達人たちの掛け合いを心から楽しんだ。でも何よりこの楽章のハイライトはバンダのポストホルン。澄んだ優しい音色が完璧。見事に夢の世界を表現していた。曲が進むにつれ、徐々に舞台袖のドアが開いていき、やがて夢の世界と現実の世界が一つに融合しようとする。しかしそれらの世界が融合するところでトランペットによるファンファーレ。もうちょっと大げさに鳴らして欲しかったが。夢の世界のポストホルンと現実の世界のホルンとの掛け合いも非常に面白かった。最後の終わり方は非常にゆっくり。

【第4楽章】これより小さく弾けるかというくらい非常に静かに始まる低弦。そこから突如浮かび出すアルトのラーソンによる歌声。ラーソンはとても背が高い人で、立っていた場所も指揮者の横ではなく第2ヴァイオリンの後ろ、ホルンの前。声には芯がありちょっと凄みがあった。もうちょっと明るさがあっても良かったと思うが・・・。独唱に絡みつく楽器の中で面白かったのはオーボエ。あの粘っこさはあまり聴いたことがないなぁ。

【第5楽章】鐘が鳴ると同時に児童合唱がスックと立ち上がるや「ビムバム」。ちょっとびっくり。東京少年少女合唱団も芯のある熱い歌声。シェーンベルク合唱団の方は透明感あふれる一線に並んだ張りつめた歌声。そこに入るラーソンの声。ちょっとイメージとは違ったが、異なる一面を見せてくれたかな?

【第6楽章】こういう弦楽合奏はBPOのためにあるようなもの。後半部分の弦楽器による主題の合奏は特に力が入っていて、強奏であるにも関わらず音の美しいこと! そのあとのホルンによる迫りくる合奏!この時点でまだ各楽器の音に驚いてしまうとは・・・おそるべしBPO。フィナーレはもう言うことがなく、地鳴りを上げ、広大な宇宙空間の天体の運行を見守るがごとく、ただただ涙をこらえて流れに身をまかしていた。

とにかくこの2日間、真の演奏とはどういうものかを教えられたように思う。
ありがとう。BPO! また次回まで・・・(次回はいつぞ)

(1998.10.17 AM2:34)


(補筆1)第2ティンパニ奏者はヴェルツェルではないようですね。ヤン・シュリヒテらしい。メンバー表では打楽器にところに載っている。絶えずゼーガースの方を見ながら叩いていたのがとても印象的でした(終楽章)。

(補筆2)10月19日サントリーホールの演奏を聴きました(NHK FMで)。正直言って大阪の公演の方が良かったように思います。FMで聴いているとミスもよく聴き取れたし、なんだか集中力に欠けているような演奏でした。たぶん録音が良くないのも大きな原因だとは思いますが・・・でも、立ち上がりは遅いし、なにか噛み合っていないようでした(特に第1楽章)。録音のせいですかねぇ。

(1998.10.20 AM 0:05)


番外編

今回は非常に多くの人にサインをもらうことができた。さすがに2日も行くと、まんべんなく集められました(計25名!)。そういう中で演奏会前後の団員の姿を少しお伝えします。


10月15日

■1stヴァイオリン奏者マヤ・アブラモヴィッチ
パンをほおばりながら楽屋入り

いやはや。一流奏者はひと味違います。することもビッグだ。緊張はやっぱりしないのかなぁ。ちなみに、アブラモヴィッチさんは第3プルトにいる美人ヴァイオリニストです・・・

■ベルリン・フィル総支配人現わる

来るのは当たり前なのかも知らないけど、さすがにサインはもらわなかった・・・もらっとけばレアだったかな?

■首席オーボエ奏者アルブレヒト・マイヤー
日本人女性2人と居酒屋に消える

最後の最後までファンサービスに余念のなかったマイヤーさん(確か前回も最後まで残っていたなぁ・・・)。帰り道が同じだったので付いていったら、日本人女性2人(1人はオーボエ奏者として出ていた人だと思う)と「居酒屋○○」に消える。付いていこうかと思ったがそれではストーカーなので諦めた。英語をもっと勉強してから付いていこう。

10月16日

■ティンパニ奏者ライナー・ゼーガース、 オーボエ奏者クリストフ・ハルトマン楽屋口で団員を迎える

ゼーガースとハルトマンが開演1時間前以上から楽屋口のところでずっと団員が来るのを見守っていた。何なんだろう。

■管楽器メンバー数名を寿司屋で発見

食事をしようと探していたが、時間が時間だったのでどこも閉店間際だった。その最中、スカイビル地下の「○○○寿司」にてBPO管楽メンバーを発見してしまった。寿司屋のオヤジも外国人ばかりで困ったことだろう。

■ホテルにて手中のアバドを逃す

某ホテルにはアバドを始めBPO団員が全員宿泊していた。公演終了後はホテルロビーに団員がわんさか。トークをするにはもってこいだった(英語がうまくしゃべれないのでまた涙をのむ)。その中、レストラン口でアバドを発見。急いで駆けつけたらちょうど出てきた。友達は何とかサインをもらったが、私はパンフを取り出すのに手間取ってしまい、2秒ほど待ってくれたがそのままカフェに行ってしまった・・・心残りができてしまった。

某ホテルロビー端にあった団員向け掲示板
■某ホテルロビー端にあった団員向け掲示板(10月16日)

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