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2002年9月22日 バーミンガム市交響楽団
(京都コンサートホール)

演奏曲目および評価

エルガー  序曲「コケイン」−ロンドン・タウンで
ウォルトン  ヴァイオリン協奏曲
シベリウス  交響曲第2番



演奏者(指揮者・ソリスト)

ヴァイオリン: 諏訪内 晶子
指揮: サカリ・オラモ

感想・短評

ラトルのあとを引き継いだ俊英サカリ・オラモ。まだあまり馴染みのない指揮者だが、ラトルの後継者ということもありその手腕が非常に気になる来日公演である。諏訪内さんとの競演ということもあり、期待が二重なのは非常にうれしい。

バーミンガム市響を聴くのは4年ぶりとなる。この4年間は非常に大きな4年だったのかも知れない。1曲目のエルガーの演奏を聴いてそれを感じた。ラトル時代もうまかったのだが、さらにレベルがあがっているような気がした。特に弦の美しさは確かにレベルがあがっている(ラトル時代のブルックナーのCDを聴いてその美しさにうっとりした記憶がよみがえった)。前回の時も思ったことは、飛び抜けてうまいセクションがあるわけではないということ。個々に聴くと「それなりにうまい」と思うくらいなのだが、全体のまとまりが非常にバランスいいのである。エルガーの演奏は英国のオケならではの風格と、時折魅せる激しさを余すことなく表現していた。何より驚いたのがやはり注目のオラモの指揮だった。棒を振り下ろしたとたんに指揮に忠実に曲が展開された。非常に明快でスケールの大きな指揮ぶり。まさに「音楽を紡いでいる」という表現がぴったりだった。

もう一つの主役は諏訪内さん。今日は黒のドレスに身をまとい登場。残念ながら聴いたことがない曲だったので曲を十二分に楽しむことはできなかった。でも、諏訪内さんのテクニックは存分に楽しむことができた。特に素晴らしかったのは第2楽章か。オケとの息もぴったりで、超絶技巧を披露。曲自体はちょっとつかみ所が分からなかったが、素晴らしい演奏となっていたのではないだろうか。

度肝を抜かれたのが最後のシベリウス。3年前にラハティ響で「本場のシベリウス」を聴いたときに「これ以上の演奏はない」と思ったのだが・・・ 今日の演奏は最高のシベリウス演奏だった。交響曲第2番はこういう曲だっただろうか? そう思ってしまうほど新鮮な演奏だったのだ。非常にテンポをゆっくりと取り、1音1音をとても大事に紡いでいく。圧巻だったのが第2楽章。「静寂も音楽の一部」であることをものの見事に証明してくれた名演となった。息もできないほど静まり返っていた会場が今でも思い浮かぶ。第2楽章、第3楽章は意外とあっさりと通り過ぎてしまう印象があるのだが、両楽章のウェイトが非常に高かった。聴かせどころの第4楽章は速いテンポで演奏され好対照をなしていた。全曲を通して非常にダイナミックな演奏で、オラモ=バーミンガム市響のコンビが早くも充実していることを示してくれていたと思う。まだまだ若いにもかかわらず音楽性は非常に高いと思うので、今後の活躍から目を離すことはできないだろう。

アンコールはラッキーなことに、シベリウスの「フィンランディア」が演奏された。アンコールにしては気前のいい選曲。また、ウォルトンの「ヘンリー5世」から1曲も演奏してくれた(曲名を忘れた)。

サカリ・オラモ。次回来日するときは誰もが名を知る指揮者となっていることだろう。

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