なかなか意欲的なプログラム。初めはジョン・ケージの曲。ケージの曲を聴くのはおそらく初めて。きっと聴きづらい現代曲かと思いきや、意外と聴きやすかった。この曲は「トイ・ピアノ」とタイトルにもあるように、おもちゃのピアノ同様、かなり限られた音を使って作られている。しかし、思ったほど単調ではなかったのは現代曲だからだろうか(よくパンフレットを見るとオーケストラ版はピアノ版とは違い色彩豊かになっているようだ)。オケもバランスよく、それぞれの楽器がいい具合に鳴っていた。
2曲目はお気に入りのワイル。2年前に大フィルでも聴いたことある(ワイル生誕100年イベント)。大フィルのように重々しい展開ではなく、もう少し明確で機動力に長ける演奏であったように思う。明確であるがゆえにとても聴きやすく、初めての人でもとっつきやすかったのではないだろうか? 途中、トロンボーンがもたない個所もあったが、全体的にははつらつとした感があって楽しめた。しっかりドイツ・ロマン派的な深みも表現できていたので、まずまずの演奏だったのではないだろうか?。
最後はフォーレのレクイエム。並び方が通常とは異なるので面白かった。合唱団は左奥がベース、右奥がテノール、左前がソプラノ、右前がアルトという並び。高音と低音がうまく融合する並びになっていてフォーレの柔らかさをうまく表現していた。オケも面白い並びで、左がヴィオラ、右がチェロ、1stヴァイオリンがなくて、2ndヴァイオリンがビオラとチェロの間というもの。これもこの曲独自の編成なのだろう。レクイエムファンとしてはなかなかうるさいのだが、今日の演奏は合格だったと思う。決してオケが目立つ曲ではないが、合唱を柔らかくうまくサポートしていた。合唱はアルトとベースがいまいち。テノールはよく声が通っていて良かった。しかし、いちばん素晴らしかったのはバリトン独唱の藤村氏か。安定感があり、荘厳な響きを醸し出していた。短い曲だが、とても充実した響きをホールに残してくれた。
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