いま話題のアリス=紗良・オットが見られるだけでなく、私の大好きなブルックナー5番がメインということで楽しみなプログラム。パンフレットを見ていると、「5番が好きだという人は『ブルックナー・ファン』『ブルックナー・マニア』または『ブルックナー狂』の何れかだ」と書かれていた。5番が一番好きという私っていったい・・・
さて、まずはリストのピアノ協奏曲。かなり遅めのテンポだったので一層壮大に響いていた。アリスさんは見た目とは異なり、強肩で力強い弾き方をする。それでいて、テクニックを前面に出すのではなく、感情豊かに暖かく奏でていたのが好印象。まだ20歳そこそこの若手なのに、ベテランのような弾き方をするのが珍しい。今後もっと深みが増していくことを考えると、かなり期待のピアニストになるのではないだろうか?小泉さんの方は無難な指揮だったので、ピアノがとても表情があって助かった。
アンコールはリストのラ・カンパネラ。こちらも超絶技巧を駆使しながらも巨匠並みの深みを併せ持っていた驚きの演奏。いやー、素晴らしい逸材です。ルックスも含めて大いに人気が出ること間違いないでしょう。
さて、後半は長大なブルックナー。あまりメジャーとは言い難い曲だが、このところ意外によく耳にする。好きな曲だからいいんだけどね。編成が比較的小さいというのもあるが、演奏はいたってコンパクトな印象だった。いつもアーノンクールやチェリビダッケのCDを聴いているためか、ブルックナー休止に代表される間の取り方がしっくり来なかった。全体的にテンポ速めだし。オケはよく頑張っていたと思います。特に金管は強烈に体力の要る曲なので、最後まで吹き続けるのは持久戦に近い。第3楽章でアンサンブルが乱れて危なかったが、第4楽章では持ち直してくれました。なんかスポーツ観戦でもしているような感覚で応援していた気がします(笑)。金管の活躍に隠れてしまいますが、フルートとクラリネットの上手さは光ってました。第4楽章があまりにもテンポが速すぎたのは気に入らなかったが、最後までダレることなく良い音出ていたと思います。しかし、センチュリーの定期では相変わらずフライングブラボーが五月蝿いですね。ブルックナーの壮麗な残響の余韻を楽しむという余裕はないんでしょうか?そもそも叫ぶ曲ではないですし。
来年はブルックナーの6番も予定されているので、また目を(耳を?)離せない演奏会となりそうです。
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