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1999年2月25日 大阪センチュリー交響楽団
第52回定期演奏会(ザ・シンフォニーホール)  → はいかーの報告へ

演奏曲目および評価

猿谷 紀郎  搖光の嵩まり(楽団委嘱作品)
モーツァルト  ピアノ協奏曲第9番「ジュノム」
ストラヴィンスキー  ハ長調の交響曲



演奏者(指揮者・ソリスト)

ピアノ: 児玉 桃
指揮: 高関 健

感想・短評

オーケストラ画像猿谷氏の曲は今回が世界初演(楽団の委嘱作品)。日本人の作曲家の曲を聴く機会は結構ないのでちょっと期待して聴いてみた。曲は「宇宙」をイメージしたものらしく、非常に無機質で冷たささえ感じられた。しかし現代曲という印象はなく、ロマン的になりそうでなりきれないという、不思議な感覚を味わうことができた作品だった。猿谷氏は1960年生まれだから、まだまだ若い。これからの日本音楽会の中心的な存在になることだろう。

2曲目はモーツァルト。最初の一音からオケの響きに驚いた。センチュリーは弦楽器がかなり長けているのでモーツァルトにはぴったりの響きだった! 関西一の腕ではないだろうか。ピアノは児玉桃。何かベールに包まれたような柔らかいタッチでモーツァルトの世界をうまく描き出していた。しかし、私は疲れていた上にあまりの心地よさに、寝ちゃいました・・・第2楽章なんかはあんまり覚えてない。第3楽章はユニークな楽章でモーツァルトとピアノの面白さが堪能できた。でもちょっと淡白だった感も拭えないが。

メインはストラヴィンスキー。一聴するとストラヴィンスキーとは分からないかもしれない。わたしはプーランクをイメージしてしまったくらいだ。古典的でありながら、リズムがかなり現代的。第2楽章の弦楽アンサンブルは素晴らしかった。また一つ隠れた名曲を発見した。

全曲に渡ってオケについて評価すると、「うまい」の一言に尽きると思う。センチュリーに行くのは今回で2回目だが、弦楽器の奥行きの深さは関西のオケではトップクラスだろう。ヴァイオリンも一番後ろのプルトまでしっかりと演奏しているのが他のオケとは違うところ。また、コントラバスのボリュームが凄いのも魅力。さらにもう一つ素晴らしいのは打楽器。特にティンパニは関西ではトップだと思う。抑制の効いた芯のある深い音は他とはかなり違う。テクニックもさる事ながら、バチの選び方がいいのだろうか。昨年のマルタンの協奏曲でも素晴らしいソロを聴かせていた。このオケの楽しみの一つである。

しかし、すべて良い訳ではない。管楽器が良くない! 木管は悪くはないが何か目立つところがない。金管に関してはかなりダメ。これが良かったらどんなに凄い演奏になることやら・・・

今回のプログラムはすべて聴いたことのない曲だった。高関氏はいつも意欲的なプログラムで喜ばせてくれる。現代曲を大いに取り上げるのはここぐらいだからなぁ。

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