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コンサート名・公演名

2002年11月8日 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
(ザ・シンフォニーホール)

演奏曲目および評価

マーラー  交響曲第3番

演奏者(指揮者・ソリスト)

メゾ・ソプラノ: 寺谷 千枝子
少年合唱: 桃太郎合唱団
女声合唱: アーノルト・シェーンベルク合唱団
指揮: リッカルド・シャイー

感想・短評

concertgebou久々の高額コンサート(笑)。今まで行った中では歴代4番目の高さなだけに気合いも入る。コンセルトヘボウはかれこれ10年近く前に聴いたきりなので、その後どれくらいシャイーの元で磨きがかかったか楽しみだった。。。

ところが・・・冒頭から不安がよぎる。「これがコンセルトヘボウなのか?」。いや違うはずだ。これは聴いている場所が悪いに違いない。そう言い聞かせざるを得ない演奏であった。約10年前に広島厚生年金会館でコンセルトヘボウの演奏(ストラヴィンスキーとマーラー)の演奏を聴いたときは、弦のつややかさと金管のきらめきに圧倒されたのを今でも強烈に覚えている。それと今回は明らかに違うものだったのだ。

まず、非常にゆっくりとしたテンポで曲が始まった。オケも何処かもどかしいくらいにゆっくりと。ホルンについては音色は美しかったが、ミスを連発。テンポが遅いために曲の微妙なニュアンスがよく分かる反面、演奏としての難易度が高いのか、何処かギクシャクしていたのだ。何より驚いたのが弦楽器があまり聞こえてこなかったことだ。あの「つややかさ」はどうした? 盛り上がりを見せる部分では、さすがにシャイーらしくイタリアオペラのごとく劇的に演出していたが、デュナーミクを大きく取ることに失敗?し、逆にボリューム感が欠けてしまっていた。結局、眠れる巨人を目覚めさせることなく第1楽章が終了してしまう。

第2楽章も同様に過ぎて行く。。。第3楽章では少し調子が出てきたものの、それはホルンの出来が良かったに他ならない。第4楽章は超スローテンポ! かなりオケを抑制して演奏したために、非常に幻想的な雰囲気を演出していた。第5楽章はビムバム。少年合唱のパンチが乏しかったのが残念なところ。アーノルト・シェーンベルク合唱団の出来があまりにも素晴らしかったためにようやくこの楽章に来て納得の演奏を聴くことが出来た。そして終楽章。ようやくコンセルトヘボウの眠れる巨人が目を覚ました。4年前のベルリンフィルの演奏には及ばなかったが、テンポをゆっくりと取ったシャイーの演奏はまさに感動の世界へと導いて行くようだった。この楽章のおかげで前半の納得のいかない演奏はある程度は吹っ飛んだだろうか? 少し気になったのは最後の部分でヴァイオリンのボウイングがあまりにバラバラであったこと。見てて「う〜ん」と思ったが、ああいうものなのだろうか?

観客は今日の演奏に満足したのだろうか、それともシャイーの熱狂的なファンなのだろうか、それともせっかく高い金払ったのだから少しくらいは楽しんでいこうと思ったのか(考えすぎか)、スタンディングオベーションで讚えていた。面白かったのは観客の拍手と一緒に少年合唱の団員たちも拍手をしていたこと。素人らしくてほほ笑ましかった。

何にしても、今日のコンセルトヘボウの演奏が最上でなかったのはホールのせいだということにしておきたい。いや、そう信じたい。。。

chailly
リッカルド・シャイー

【番外編1】 当初出演予定だったアルト歌手のミシェル・デ・ヤングさんが直前になり仙骨部を痛めて来日が不能になってしまった。その代役として登場したのが寺谷千枝子さんである。大物の交代劇は今年は2回目だ。9月の時のクレーメルの交代は非常に残念だったが・・・

【番外編2】 私たちが会場に入ると同時に何処かで見たことのある外人たちがぞろぞろ入ってきた。なんとそれはベルリンフィルの首席ホルン奏者のシュテファン・ドールや元首席オーボエ奏者のハンス・イェルク・シュレンベルガーなど大物が観客としてやってきていたのだ。さすがに他のオケのコンサートなのでサインをもらうのは止めたが、これほどの大物が聴きに来るとは意外だった。アンサンブル・ウィーン=ベルリンの演奏会のために大阪に来ていたためだったのだろう。

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